前回は、楽器可物件を音大の近くに建てなくてもよい理由を説明しました。今回は、既存物件を「楽器可防音賃貸マンション」につくりかえることが困難な理由を見ていきます。

木造・鉄骨造の建物は「軽さ」ゆえに遮音性能が低い

楽器可防音賃貸マンションの模倣を試みる場合、まずは既存物件からの転用が考えられます。

 

しかし、結論から述べると、既存物件を楽器可防音賃貸マンションにつくりかえることはこの上なく困難といってよいでしょう。既存物件の大半を占めている木造・鉄骨造の建物はその〝軽さ〞ゆえに、楽器可防音賃貸マンションに改修することが物理的に不可能と考えて差し支えありません。

 

いうまでもありませんが、楽器可防音賃貸マンションでは、音を遮って外に漏らさない性能、すなわち「遮音性能」が不可欠となります。

 

遮音性能は質量に比例します。つまり、重量があればあるほど遮音性能は高まり、逆に軽ければ軽いほど遮音性能は低くなります。ところが、木造はもちろん、鉄骨造もコスト削減のために徹底した軽量化が図られており、本来的に遮音性能が極めて低い設計となっているのです。

 

おそらく木造・鉄骨造の既存物件を安易に楽器可物件に転用すれば、楽器を演奏する入居者が発生させる騒音の大きさに我慢できずに、他の入居者たちは次々と退去してしまうはずです。

防音性能の鉄骨造も楽器演奏レベルの音には不十分

なお、最近、東証一部に上場している某大手ハウスメーカーが、防音性能を向上させた特別仕様の鉄骨造の共同住宅を開発したと伝えられています。

 

しかし、これは上下階の足音などの騒音対策を目的とした商品であり、隣戸間界床の遮音性能は50デシベル程度しかないようです。

 

仮にこれを購入した後で、楽器可物件への転用を試みたとしたら――たとえば「ピアノの演奏ができます」という触れ込みで入居者を募集したら――どのような結果がもたらされることになるかを考えてみましょう。

 

ピアノの演奏音は、100デシベル前後になります。すると、50デシベルの遮音性能であれば、「100デシベル−50デシベル」の計算式から、50デシベルの騒音が室外に漏れることになり、上下、両隣の部屋に住む人は耐えがたい苦痛を感じることになるはずです。

 

このように、たとえ防音性能を備えていたとしても、木造・鉄骨造の物件を楽器可物件に転用することは事実上不可能なのです。

本連載は、2016年3月1日刊行の書籍『"楽器可防音マンション経営"で実現する鉄壁の資産防衛』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

"楽器可防音マンション経営"で 実現する鉄壁の資産防衛

"楽器可防音マンション経営"で 実現する鉄壁の資産防衛

大塚 五郎右エ門

幻冬舎メディアコンサルティング

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