外壁塗装は、建築物を長持ちさせるために避けて通れない工事ですが、トラブルが起きやすく、リフォーム関連の相談のうち約3分の2を外壁にまつわるものが占めています。本記事では、具体的な外装工事の例を取り上げ、不動産投資家や不動産オーナーが知っておくべきポイントを分かりやすく解説します。

「思っていた壁の色と違う!」見本帳の落とし穴

●汚れ

 

外壁そのものの汚れや、工事を行った周辺の汚れです。

 

例えば、依頼者の車などへの塗料の飛散や、足場を組んで上らなければ見えないようなところへの塗料の飛散のほか、壁に這わせてある電話やインターネットのコードについた塗料が、拭き取られずにそのままになっているケースなどがあります。酷いときは、建物の基礎や土間など明らかに見える所に塗料が飛散している場合もあります。汚れは見た目を悪化させる原因になりますし、隣家の壁や所有物などが汚れることにより、ご近所トラブルが発生する可能性があります。

 

●イメージと違う色になった

 

図表2には出ていませんが、外壁塗装でよく起きるトラブルには、期待どおりの色に仕上がらなかったということがあります。

 

色は、施工前に業者と打ち合わせして決めます。

 

その際には、塗料メーカーのカタログや、日本塗料工業会などが作っている色見本帳の色を参考にします。

 

しかし、見本帳の色と実際の塗装した状態の色がまったく同じになるとは限りません。

 

厳密には同じ色なのですが、ほとんどの場合、壁に塗装した色は見本の色よりも明るく見えるものなのです。

 

見本より実物のほうが明るく見える理由の1つは、面積効果が働くためです。

 

面積効果は、簡単にいえば、面積が大きくなるほど色の明るさや彩度が増す効果のことです。それに加えて、見本帳は室内、実物は屋外で見ますので、光の強さや室内の電球の色によって見え方が変わることもあります。

 

また、経年劣化による色あせも、色トラブルの1つの原因です。塗装直後は満足な仕上がりだったとしても、色というのは例外なくすべての色が経年劣化で「白色」に向かって色あせていくため、当初の色より薄くなり不満を感じるお客さんも少なくありません。

 

そのような点をあらかじめ知っておかないと、「思っていたより派手な色になった……」「もっと落ち着いた仕上がりを想像していたのに……」といった不満や「年数が経ってこんな色になるなら違う色にしておけばよかった……」といった後悔を抱えることになります。

 

塗装は前述のとおり、下塗り、中塗り、上塗りの3回ですので、下塗りや中塗りの段階なら上塗りの塗料を替えることができます。現場作業が始まっても、上塗りの色の変更が可能であることを知っていれば、塗料を変更することができます。

 

しかし、上塗りまで終わった段階で「イメージと違う」と思った場合、もう1度塗るか、我慢するしかありません。

 

もう1度塗るためには追加料金がかかるはずです。

 

我慢する場合、外壁塗装は10年くらいを目安に行うものですので、心のどこかで「はぁ~」とため息をつき10年間暮らすことになります。

 

どちらを選ぶにせよ、お客さんには厳しい選択となるでしょう。

 

皆さんは外壁塗装の際にあまり意識しないかもしれませんが、家の色というのは、塗装後もずっとその人の気持ちや生活に影響を及ぼします。

 

思いどおりの色で外壁塗装ができれば、出勤前に「今日も頑張ろう!」と思えるはずですし、ご近所の方にも「良い色ねぇ」と言われて嬉しい気持ちになるでしょう。休みの日には、お洒落になった自分の家を笑顔でしばらく見ているかもしれません。気分の良い日が増え、仕事もプライベートも順風満帆になるはずです。

 

しかし、期待外れの色になり我慢して過ごしている場合は、家族で喧嘩が絶えなかったり、休みの日に家を見ると憂鬱な気分になり外へ出るのが嫌になるかもしれません。

 

このように塗装後の生活に影響することですので、色選びは慎重に行いましょう。休日に近所のお洒落な家を見て回るなど、複数の事例を知っておくとよいでしょう。

 

 

久保 信也

株式会社リペイント匠 代表取締役

 

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