本を読むことが楽しい、という空間を作ることが重要
読み聞かせは、想像力や言語能力が高まり、感情が豊かになるといわれ、その効果は多くの専門家が高く評価しています。
実際に、読み聞かせ中の子どもの脳では、喜怒哀楽を生み出すとされる大脳辺縁系(へんえんけい)が活発に働いているという報告もあります。さらに、IQやストレス耐性が上がるとされる愛情ホルモンの分泌が活発になるともいわれています。
しかし、大事なのはどのような体勢で読むかなのです。
子どもは、本を読んでもらうことで多くの物事を想像します。その想像の深さが思考の広さに繋がっていきます。イメージを膨らませるためには、心地よさが求められます。お母さん、お父さんと顔がくっつくぐらいの距離感を作れる体勢、それが、膝の上なのです。
膝の上に座ることができる嬉しさと、本を読んでもらえる楽しさが同じ空間の中で実現できることが“本が好き”に繋がっていきます。同じ方向を向くことで、その世界を共有しやすいというメリットもあります。
もちろん、子どもが対面の方が紙芝居みたいでいいというのであれば、それでもいいと思います。大事なことは、子どもが心地よい体勢で読んであげることです。
また、子どもは好きな本を何度も読んでもらいたがります。親はいろいろな本を読んであげたいという気持ちになりますが、子どもの中ではイメージの膨らみ方が違っているケースが多いようです。
繰り返し読んであげるうちに、着眼点が変わってきます。短い時間で構いません。時間のあるときに少しだけ読んであげれば十分です。
読み聞かせは、親と同じ空間を共有する大事な場所です。時にはなんで悪いことしたのかな?この後、どうなるのかな?と文間を一緒に考えるのも思考力を高める要素になります。
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東京富士大学
入試広報部入試部長、IR推進室長/教授
鬼木 一直
東京工業大学修士課程理工学研究科修了。ソニー株式会社入社1年目にハードディスク垂直記録方式の薄膜磁気ヘッドの記録再生確認に成功。開発マネージャとして多くの人材育成を行った後、東京富士大学経営学部教授。社会人基礎力を高める実践教育を積極的に推進している。