財閥が牛耳る「フィリピン経済」
フィリピン経済を語るうえで欠かせないのが“財閥”の存在です。これは戦前の三菱財閥、三井財閥、住友財閥のような存在です。戦後GHQが日本の財閥を解体したのは、日本の社会・経済において財閥があまりにも強大な力を持ち過ぎていたからです。
そして今のフィリピン経済はこの財閥グループが支配していると言っても過言ではありません。総資産比でも時価総額比でもフィリピン株市場全体の30%前後を占めています。ただ、これはHolding Firmsというセクターに分類された財閥銘柄だけ足し上げたもので、実際には、このHolding Firmsの傘下に複雑に資本が絡み合っている多数のグループ会社が存在するのが財閥ですので、それらを含めれば全体の50%近くを財閥関連企業が占めていると言われています。
このHolding Firmsというセクターの中でも特に巨大な企業10社を10大財閥と言っています。フィリピンに上場会社数が少ないひとつの大きな要因は、この財閥パワーが強大で、主要産業を抑えているために新興企業の出番が少ないという側面があります。多くの有力企業が財閥傘下で未上場の状態にありますし、上場を目指すスタートアップ企業が財閥企業に買収されて、エグジットするという話しもよくあります。
実際財閥企業は、電気、ガス、水道、道路などの社会公共インフラ事業から都市開発、銀行など国の基幹産業で主導権を握っていて、まさにフィリピン経済そのものといってもいい存在です。逆に投資対象と見た時には、非常に有力な投資先となると言え、フィリピン経済そのものに投資する様なもので長期投資の本流といえます。
以下、個別に財閥銘柄を見ていきましょう。
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