会社員の平均給与だけで家を買おうとしたら…
日本人の初婚年齢と第1子年齢の平均は30歳前後。30代後半には小学生の親になる、そんな人が多くなります。そのあと家を購入し、子どもが転校するようなことになったらかわいそうだから、と第1子が小学校に進学するまでにマイホームの購入に踏み切る人は多いようです。
国土交通省『令和元年度住宅市場動向調査』によると、新築分譲マンションの購入者の平均像は以下の通り。
世帯平均年収 688万円
世帯主平均年齢 36.8歳
購入資金 3851万円(うちローン 2830万円)
平均返済期間 32.7年
一方、厚生労働省『令和2年賃金構造基本調査』によると、30代前半の平均給与(所定内給与額)は28万9200円、30代後半では32万8300円。諸手当や賞与などを加味した年収は、概算で30代前半なら442万4200円、後半であれば469万100円です。
*きまって支給する現金給与額のうち、超過労働給与額(時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日出勤手当、宿日直手当、交替手当)を差し引いた額
子どもがまだ就学前だと、奥様は専業主婦、という家も珍しくありません。にも関わらず、平均的な給与で家を購入したとしたら、どのようになるか考えてみましょう。
前出の平均的な3800万円の分譲住宅を、2800万円の30年住宅ローンを活用して購入したとします。当初5年間の金利は0.6%、以降は1.5%として考えると、利息分は550万7045円、総支払額は3350万7045円となります。毎月の支払いは、5年間は8万5007円、以降は9万4689円となります。
平均賃金から手取り額は、30代前半で25万円ほど、30代後半で28万円ほどになります。そこからローン返済分を引いた額、月に16万円から19万円ほどで家族を養っていく必要があります。
また総務省『家計調査』によると、30代世帯の消費支出は26万円程度、住居費を除くと21万~23万円程度が平均値。そこから考えると、年収400万円代で世帯主だけの収入だけで平均的なマイホームを購入する、というのは少々無理があります。
毎月の生活費やローン返済だけではありません。子どもの成長とともに教育費は頭の痛い問題です。仮に小学校から高校まで公立校に通ったとしたら12年間で350万円、高校だけ私立だったら630万円、中学校から私立に通ったら900万円を超える学費が必要になります(文部科学省『平成30年度子供の学習費調査』より)。
さらに大学進学となると、国公立大学は4年間で250万円前後、私立大学文系では400万円、私立大学理系なら550万円ほどになります(文部科学省『国立大学等の授業料その他の費用に関する省令』、『私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査』より)。
これらの費用は月々の収入から積み立てて準備していく必要があります。生活費とローン返済で毎月がカツカツでは、マイホーム購入はかなりのハードルです。
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