定年前後はお金に関する様々な誘惑があり、危険な罠にはまって老後破綻に陥る人も多いです。しかし、50歳を過ぎたらするべきこと、してはいけないことを知っておけば、老後のお金の不安は解消できます。今回は、60歳で定年退職した元部長が、1年で退職金の1800万円をほとんどを使い込んでしまった話です。※本連載は、山中伸枝氏の著書『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

大金を目にすると、冷静に判断できなくなるので注意!

退職金の大きな落とし穴は、それを一時金で受け取ると、預金通帳にたくさんのゼロが並んだお金が、ポーンと入金されていることです。

 

大企業の部長クラスで定年を迎えたら、退職金の額は2000万円を超えて3000万円くらいになるかも知れません。ある日、自分の預金口座に3000万円ものお金が振り込まれているのですから、気も大きくなるというものでしょう。

 

何しろ「¥30000000」ですよ。こんなにたくさんの「0」が付いた預金通帳を、これまで一度も目にしたことがないのが普通ですから、舞い上がってしまうのも無理はありません。

 

でも、いったん冷静になってください。ここで無茶なことをしでかすと、本当に一生後悔することになります

 

Aさんはまさにその典型的なケースでした。長年働いた会社を退職して、何となく自分にご褒美を上げたい気分になるのでしょう。その気持ちも痛いほどわかります。

 

慣れていない人が大金を目の前にすると、どうも冷静な判断ができなくなるようです。いままで投資などしたことがないのに、いきなり投資を始めてしまうなどというのは、まさに典型例でしょう。

 

ほかにも、まとまったお金が入って「こうしたい」「ああしたい」という誘惑は、いろいろあると思います。

 

Aさんのように豪華客船の旅とまではいかなくても、高級旅館に泊まるとか、自動車を買い替えるとか、あるいは家の増改築を行うとか、子供の結婚費用を払うとか、退職金を受け取った途端、頭の中で何かが弾けて、ついお財布の紐が緩んで散財してしまうケースは、よく聞きます。

 

大金を手にすると気が大きくなる人は、くれぐれも注意してください。

 

山中 伸枝

株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役

 

 

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50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話

50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話

山中 伸枝

東洋経済新報社

定年前後の5年間、お金との付き合いには罠がいっぱいあります。老後の生活が始まる前に破綻してしまう人もいるくらい、とっても危険な罠です。この本では、その危険な罠にはまらないよう、筆者自身が実際に本人たちから聞いた…

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