将来の収支を試算するために保険会社がよく実施する「ライフプランシミュレーション」。その結果を基に「今のままだと何歳で貯蓄が底をつくので、今のうちに保険に入りましょう」というセールストークを聞いたことがある人は多いと思います。しかしそのシミュレーションには、ある大切な要素が欠落しています。今回は、ライフプランを考える上でのポイントを解説します。※本連載は、大江英樹氏の著書『資産寿命 人生100年時代のお金の「長寿術」』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

「ライフプランシミュレーション」のポイント3つ

他人に頼らず、自分でライフプランシミュレーションをやるのであれば、以下の3点に注意してください。

 

①ざっくりと試算する

試算はざっくりで良いのです。あまり精緻なものを作ってしまうと、一生懸命作ったが故にその結果を絶対視しかねません。でも将来どんな変化が起こるかわからないものを今から絶対視するのは危険です。

 

今後の状況の変化に応じて柔軟に対応するためにも、アバウトなもので良いので、大雑把につかんでおくことが大切です。細かい数字合わせは不要です。大体いくらぐらいという程度がわかれば十分なのです。

 

②自分だけでなく、家族も一緒に考える

ライフプランを考える上で最も大切なことは、「自分と家族がやりたいこと、望んでいる生活を実現すること」です。単なるライフプランシミュレーションソフトに最も欠けているのがこの部分かもしれません。

 

でもそれはソフトやアプリを利用するだけでは困難です。したがって家族のいる人はみんなで考える、特に重要なのは生涯共に暮らすパートナーがいれば、その人と一緒に考えるということです。

 

③定期的に見直しを行なう

前述したようにライフプランは結果を絶対視すべきではありません。人生においては予期せぬことはいくらでも起きるからです。

 

子どもが私立医大に合格した、親が倒れて介護生活が始まった、ブラジルで暮らしていた農園王の叔父さんが亡くなって遺産が転がり込んできた(これは冗談ですが)等々、それまで考えてきたキャッシュフローが一挙にひっくり返ってしまうような出来事が起きるかもしれません。

 

だからこそ、定期的に見直しすることが必要です。理想を言えば、1年に1回、年末か年始にするのが良いのですが、面倒ならそれほど頻繁にしなくても3年か5年に一度ぐらいでも十分です。

 

繰り返しになりますが、ライフプランシミュレーション自体が悪いわけではありません。金融機関の営業ツールとしてのシミュレーションに惑わされるのではなく、しっかりと自分の頭で考えることを忘れないようにしていただきたいのです。

 

大江 英樹

株式会社オフィス・リベルタス 代表取締役 

 

 

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