インターネットのいわゆる「アフィリエイト広告」で合理的な根拠がない宣伝をして育毛剤を販売していたのは景品表示法に違反するとして、消費者庁は東京の通信販売会社に対し、再発防止などを命じる措置命令を行った。健康食品、化粧品などのアフィリエイト広告では、景品表示法違反と思われるものはたくさん横行していると指摘するのは後藤ブランドの後藤晴伸社長だ。今回のような法令違反はなぜ起こるのか。その舞台裏を緊急レポートする。

アフィリエイトの広告手法が生み出す弊害 

明らかに法令に抵触するような表現を使い商品を販売している広告主を相手にする広告代理店にも問題があります。広告代理店として、広告主に対して、景品表示法や薬機法に抵触している表現を使っているケースが見受けられる場合は、改善を促すべきですが、ちゃんと対処できていないと考えられます。

 

恐らく、広告の効果を考えた上で、景品表示法や薬機法に則った表現だと広告主が求める効果を出せないと思い、見過ごしている可能性があります。今回の育毛剤の件も、関与している広告代理店にも責任があると考えられます。

 

景品表示法や薬機法の違反が後を絶えないのは、アフィリエイト広告という広告手法が弊害を生んでいる可能性があります。アフィリエイト広告は、成果報酬型広告と呼ばれる広告手法です。1件の成果(商品の購入など)に対して、広告主が定めた広告費(成果報酬単価)を広告代理店側が頂くというビジネスモデルとなります。

 

アフィリエイト広告は、場合によっては、広告代理店側が損をするケースもあります。1件の成果を獲得するために広告費が5,000円掛かっているにも関わらず、広告主から成果報酬単価として3,000円しかもらえないとなると、広告代理店側は赤字になります。赤字にならないようにするため、1件の成果を獲得するための広告費を3,000円以下に抑える必要があります。1件の成果を獲得するための広告費を極力抑える必要があります。そのために、過激な広告表現を見過ごしていると考えられます。

違反すれすれで攻める広告主と広告代理店

アフィリエイト広告という広告手法が、広告代理店側に無理を強いている可能性もあります。

 

一方で、広告代理店が、広告主から非常に高い成果報酬単価を徴収し、過激な広告表現を使い、1件の成果を獲得するための広告費を極力抑えて、大きな利益を得ているケースもあります。どちらのケースも、過激な広告表現が横行する理由として考えられます。どちらにしてもアフィリエイト広告という広告手法が法令違反を生む要因になっているのではないかと考えられます。

 

このような業界としての背景があるため、なかなか今回のような法令違反が無くならないので、健全化を図っていくべきだと思いますが、なかなかグレーゾーンを攻める広告主と広告代理店が淘汰されないのが現状です。

 

もっと徹底的に行政が取り締りを強化すべきです。徐々に広告媒体側は独自に媒体審査の基準を引き上げ、グレーな広告主の出稿が減ってきているのは事実です。業界としては健全化の方向に一歩ずつ着実に進んでいるので、このような事案が今後更に減り続けて欲しいものです。

 

後藤 晴伸
後藤ブランド 社長

 

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後藤 晴伸

幻冬舎メディアコンサルティング

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