親ほど知らない…医学部受験で「失敗する人」の共通点
医学部受験に失敗する人は、どのような敗因を抱えているのでしょうか。
「そもそも、学力が足りていない」。これに尽きますが、合格には高いレベルが求められることは誰しもわかっているはずです。それにも関わらず、なぜ学力不足の状態で臨むことになるのでしょう。
単に勉強時間が足りていないのであれば、それは親の目でわかるはずです。そもそも失敗の原因が勉強不足であるならば、それは「失敗する人」ではなく「医学部受験資格を持たない人」にカテゴライズされます。
しかし、医学部受験で「失敗する人」には、親にはわからない盲点があります。その要素の1つであり、重大な問題こそ「恋愛」です。
高校生になると、恋愛のことなど親に話しません。隠れてお付き合いしているのです。気づいていないのは親だけです。私にも現在高校生の娘がいますが、彼氏がいたっておかしくないと考えています。
「うちの子に限って」というのは幻想です。高校生は恋をするものなのです。自分の高校時代を思い出してください。好きな子の1人や2人はいたことでしょう。青春ってやつです。好きな子がいないほうが珍しいのではないでしょうか。
問題は、その恋愛が受験勉強に吉と出るか凶と出るかです。「失敗する人」の共通点は凶なのです。
交際が「凶となる受験生」「吉となる受験生」の差
高校生の恋愛なんて、もって3ヵ月間というのが関の山でしょう。もちろん、高校生の同級生どうしが結婚したという話を聞いたことはあります。
しかし、自分の周りを見てください。高校時代からお付き合いをしていて、現在結婚に至っているケースは、ほんの一部ではないでしょうか。片手で数えられる程度か、あるいは「そんな人たちはいない」ということもあるかもしれません。
皆さんは高校時代、同級生の恋愛模様をどれほど見てきたでしょうか。その見てきた数を分母とし、結婚に至った数を分子とすると限りなくゼロに近いでしょう。
もう一度、青春時代を振り返ってみてください。「恋は盲目」です。成人でもそうなることがあるのに、精神構造が未熟な高校生に好きな人ができたらどうなるでしょうか。恋愛一直線になるのも無理のない話です。
好きな子がいても、医学部に合格するまでは告白もしない、あるいは単なる片思いで終わるようなら「吉」でしょう。医学部受験生であれば、できればその状態をキープしてほしいと思います。
しかし、繰り返し述べますが、普通の高校生は恋に盲目的なものです。では、お付き合いに至ったうえで、吉と出る人と凶と出る人の違いはなんでしょうか?
第一の分岐点は、どちらから別れ話を持ちかけるか、という問題です。
別れを切り出したほうは、今まで通り勉学に勤しむことができるでしょう。しかし、フラれた場合にのみ、凶となりうるのです。
それでも凶にならない人もいます。それは、依存性の低い性格タイプです。これが第二の分岐点です。ここで凶と出るのは、いつまでも別れた相手に囚われて、思い続けてしまう性格です。
小中学生のうちに教えるべき「恋愛のいろは」
我が子の恋愛が、吉とでるか凶とでるかは、赤ちゃんの頃から見ている親であれば、おおよそ推測がつくでしょう。
だから、恋愛が始まる前に心得を教えておくのです。「恋は盲目」という言葉をきちんと伝える必要があります。そして、フラれた場合の結果として、精神状態がどのようになるかまでをしっかりと伝えておくのです。
また、事前にフラれた場合のシミュレーションをすることも必要でしょう。「別れを切り出すほうもつらい」という意見もあるかもしれませんが、偽善と言わざるを得ません。フラれるほうが強い精神的ダメージを受けることに変わりはないからです。
この精神状態からリカバーして、実のある勉強時間を確保できるか否かが、吉と凶の最終的な分かれ目です。
医学部を目指す親子の多くは、かなり早い段階から受験に向けて準備してきています。これまで頑張ってきた我が子には、学生時代の恋愛の失敗1つで夢を諦めてほしくないというのが親心でしょう。とはいえ、ただ見守るだけではやはり失敗する恐れがあります。なにせ我が子には恋愛経験が乏しいわけですから。
そこで必要となるのが「シミュレーション」です。ただし、高校生になってからでは間に合いません。シミュレーションは、我が子が小・中学生のうちに始めるのが望ましいでしょう。高校生になっていきなり親が恋愛論を語るなんて、子供からしてみればおぞましい限りです。中学生の頃からきちんと男女関係のことを話し合う機会を設けておきましょう。
医学部受験の合格には「メンタルの強さ」が不可欠
なぜ私がこのようなことを述べる資格があるかというと、実は私が「凶」だったからです。
私は親から「恋愛のいろは」を学ばずに高校生で恋愛しました。自己責任だと思っているので別に恨みはありませんが、我が子には同じ目に遭ってほしくありません。だからこうして述べるのです。
私はフラれた挙句、精神的にリカバーできずに、「実のある勉強時間」を確保できませんでした。勉強時間そのものは確保しましたが、実のある時間でなかったのです。結果、一浪する羽目になりました。私もまた『失敗した人』の代表例なのです。
でもご安心ください。その後は実のある勉強時間を確保し、無事に医学部に合格できました。総論、精神的に強くないと医学部受験は失敗するということですね。
鈴木 幹啓
すずきこどもクリニック 院長
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