医師の子供は医師なる傾向が強いのはなぜか?
医師の子供は医師になる傾向が強いです。なぜでしょうか? それは、医師という職業が他の職業よりも「良い」と考えているからです。理由は人それぞれかもしれませんが、医師という職業を経験すると、わが子を敢えて他の職業に進ませることはしないと思います。わが子が医師になりたいと言えば全力で応援するし、他の道へ進みたがっていることを察すると、医学部への道へ誘導しているのが事実です。
さて、わが子を医学部に行かせるにはどうすればよいのか? かくいう私の子供も医学部志望です。私は自分自身の合格体験と、その経験から感じた「あの時(幼少期~受験までの間)にもっとこうすれば、簡単に入れただろうな」という考えに基づく家庭教育を実践していますので、今回はそれを紹介します。
会話ができるようになる「1~3歳頃」に勉強開始
0歳児は知育などはまったく不要。高価な教材に手を出すだけ無駄だと考えています。子供の可愛い姿を十分に録画や画像に残したり、一緒にいることに幸せを感じたりしてください。
教育を始めるなら1~3歳頃がよいでしょう。言葉の発達には個性がありますが、それなりにコミュニケーションができるようになってくれば、もう医学部への道はスタートします。ただし、この時期はできることが限られています。
では何ができて、どんな教育が必要か? それは英語です。ネイティブの発音を聞き取れる耳をトレーニングするために、英語で保育をしてくれるプリスクールに入れることから始めましょう。
また、小学校入学前に公文式の国語と算数をさせるとよいでしょう。公文式というのは非常によくできたプログラムだと感じます。基本的に先生はテストにマルかバツをつけるだけですが、それでも、子供は計算の仕方を覚えていくように設計されています。
集中力が弱い小1~3年生は「タメになる息抜き」で工夫
歴史上の人物が描かれたカードが市販されています。その人物名を当てるゲームがおすすめです。これは中学受験の歴史がすんなりと覚えられる基礎作りになります。また、同時に日本地図パズルや国旗カードを使って、遊びのなかで地理を覚えてもらいましょう。
小学1~3年生頃になると公文式を嫌がるようになりますが、そこは心を鬼にして、必ず宿題のノルマを達成してもらいましょう。ただし自主的にはできない子もいますので、そういう場合は親の時間を割く必要が出てきます。子供の横について、解く早さを褒めながら一緒にやるなどの工夫をするとよいでしょう。
また、小学校1年生の集中力は大人が考えるよりずっと短いので、1セット全部を一気にさせようというのは非現実的です。そのため、1枚やれば10分間の休憩を入れるなどして1枚当たりの回答スピードを確保しつつ、トータル的には休憩を含めてじっくりと時間をかけてあげなければ終わりません。
公文式に飽きた場合や10分間の休憩時間には、読書やゲームをしてもよい約束にします。「本」といっても当然、ただの漫画ではありません。ドラえもん映画の小説版だったり、ちびまる子ちゃんの慣用句などの本を渡して、休憩の「ご褒美」にするのがよいでしょう。ですので、若干休憩時間が伸びても、それに集中していれば、敢えて止める必要もありません。他に、元素や星座のキャラクター図鑑なども息抜きやご褒美と捉えてくれるので有効です。
ゲームは「桃太郎電鉄」に限定します。ただし、ニンテンドースイッチの最新の桃太郎電鉄は日本地図を俯瞰的に斜めから見る画角になっていますので不適です。おすすめは初期のプレイステーション版です。東西南北がわかりやすく、有名な地名がゴールになっているので、遊びながら学ぶことができます。
英語に関してはインターナショナルスクールが最適です。インターナショナルスクールに通えば、1年生の3学期には英検3級に合格、2年生の終わりには英検2級に合格することが標準的に可能となります。
また3年生のうちに、4年生から本格的に始める中学受験への道筋をつけるために、地理、歴史、漢字(うんこ漢字ドリルも有効)、慣用句、四字熟語などの知識をマンガで自然にどんどんつけさせましょう。
他にも、プログラミング教室と理科実験教室に通うことも重要です。公文式を嫌がる子供にとっては良い息抜きとなり、行くのを楽しみにするようになります。また、中学受験にそなえた理科の知識付けとして有効です。
遊びとして、レゴやプラモデルを買ってあげるのもよいでしょう。これらは数学で出題される立体図形のトレーニングになります。
中学年は「留学か、本気で中学受験勉強か」を選ぶ時期
もし、海外留学を考えているのであれば、小学校3年生の夏~4年生の夏までの時期しかないと考えています。ただし留学期間は長くても1年間にしましょう。帰国が遅いと中学受験の準備に間に合わなくなるからです。
また、行先はスイスがおすすめです。中学受験では、帰国子女枠の出願資格を「海外生活2年間」としているところが多いですが、スイス留学だと1年間でも特別に帰国子女枠にしてくれることもありますし、教育環境から考えてもスイスが1番だと思います。
帰国したらすぐに英語検定を受けさせます。余裕で2級は合格できるでしょう。しかし準1級となると、筆記試験では時事問題や社会情勢についての出題があるため、語学そのものの実力は高くても落ちる場合があります。
ただし留学には意外な問題点もあります。それは子供が「英語の先生になりたい」と言い出す可能性が高いことです。医師になってもらいたいのに、こう言われては焦ります。
そんなときは、子供に「日本人の先生とネイティブの先生なら、どっちの先生の授業を受けたい?」と聞くとよいでしょう。4-5年生であればまだ説得できる年齢です。また、中学受験コースでも予備校が主催する医学部進学コースなどと名のついた夏期講習や模試を受けさせると、気持ちが医学部へと戻ってきます。
海外留学しないのであれば、本格的に中学受験勉強に取り組みましょう。教材は多くの塾で使用されている『中学受験新演習』シリーズを手に入れることから始まります。これを塾で使うのではなく、自宅で取り組むというのが重要です。
誰が教えるか? 親が先に読んで、理解したうえで、教えるのです。親も久しぶりのことなので、つまずくでしょう。そこがポイントなのです。なぜなら、わが子も同じところでつまずくことになるからです。事前にわが子のつまずきポイントを把握しつつ、どうすればうまく伝えられるかを研究して教えていきましょう。
大人からしたら常識的にわかるような問題でも子供はつまづきますので、その点はYouTube「りょうこ先生」やYouTube「トライ」の授業で補完するとよいでしょう。
ちなみに4年生時に終わらせた参考書や演習本でも、6年生になったら忘れているものです。ですので学習内容を定着させられるよう、最低でも3回は復習できるようなスケジュールを組んでください。
高学年の算数は「中学受験教材」より「中学生の教材」
小学校6年生になったら、まず親が志望校の過去問題を解き、難易度と傾向を分析して受験対策を立てます。実は難関校ほど「教科書通り」の出題でなく、案外、幼少期から読んでいる雑学本などが役立つことが多いのです。そのため、休憩時間に読ませる雑学本の選定が重要となってきます。
ちなみに公文式については、連立方程式を完全にマスターした時点でやめてしまって大丈夫です。
算数は、つるかめ算やニュートン算などほとんどの問題が小学校でしか使わないような解き方で解説されています。そのため中学受験用の教材は使用せずに、中学1、2年生用の問題集である『最高水準(特進)問題集』(文英堂シグマベスト)などを活用して教えるとよいでしょう。こちらのほうが親もスムーズに教えられますし、子供も中学進学後はすぐ授業についていける水準(むしろトップレベルの成績)になります。
右も左もわからず、自分の将来の行く末もわからない小学生に、中高一貫の進学校に入れてあげることは、医学部に行かせたい親としては最低限やっておくべきことであると考えています。
鈴木 幹啓
すずきこどもクリニック 院長
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