私たちが暮らすこの世界には、大量の情報があふれています。知りたいことをインターネットで調べれば、即座に回答が並びます。そんな環境を便利だと感じ、使いこなしているつもりの人は、ちょっと注意が必要です。いつの間にか無料情報に誘導され、知らないうちに資産を吸い取られているかもしれませんよ。経済評論家の塚崎公義氏が考察します。

どんな考えのもとに発信されている情報なのか?

世の中には情報があふれています。そしてそこには、無料の情報も有料の情報も混在しています。ところで、無料の情報はなぜ「無料」で提供されているのでしょうか? 理由としては、情報提供者が善意で提供している場合や、「自分を見てほしい」といった目立とう精神に基づいて提供している場合などもあるでしょうが、その多くは「金儲けの意図」があるからこそ無料なのではないかと推察されます。

 

民放のテレビが無料なのは、コマーシャルから利益が得られるためですね。コマーシャルを流してもらった会社はテレビ局に代金を支払い、その一部が情報提供者に渡っているので、情報提供者は商売になっているわけです。

 

これは、情報の受け手が「コマーシャルを見れば情報料を払わなくていい」ということを納得している「取引」なので、とくに問題ないでしょう。Win-Winの関係といえますね。

 

そもそも、コマーシャル自体も無料の情報提供です。これは、情報の受け手が「発信側にとって都合のいい情報だろう」と理解したうえで情報を受け取るわけですから、これもとくに問題ないでしょう。コマーシャルを見て気に入った商品が見つかるならば、それもWin-Winの関係だといえます。

保険、老後資金…「無料で相談に乗りますよ?」の恐怖

販売員による情報は、受け手に誤解が生じる可能性があるため注意が必要です。中立を装い、あるいは「お客様のために」と称して、販売側に都合のいい情報を提供することがあるからです。

 

販売員が「お客様にぴったりの商品です」というのは、「当店にとっていちばん利益率が高い商品です」という意味かもしれません。「いちばん売れている商品です」というのは、「当店にとっていちばん利益率が高いので、販売員が熱心に販売している結果、売り上げ1位となっている商品です」という意味かもしれません。

 

商品に関する知識等々は、客よりも販売員のほうが豊富に持っていますから、つい「お薦めの商品はどれですか?」などと聞きたくなりますね。聞くのは構いませんが、「本当に客のためを思った返事ではないかもしれない」という警戒心は持っておきたいものです。

 

相手が販売員であれば、買い手も警戒心を持ちやすいですが、問題は「販売員の顔をしていない販売員」がいることです。

 

「保険の加入を検討しているなら、無料で相談に乗りますよ?」「老後資金が心配なら、無料で相談に乗りますよ?」といった人を見かけたら、警戒しましょう。「相談に乗る」といいながら、自分の売りたい商品を買うように「客」を誘導する可能性が高いですから。自分が商品を売る場合のみならず、提携先の商品を客に買わせてリベートを受け取る、という場合もあるでしょう。

 

「株式投資セミナーに無料でご招待します」といわれたら、無料で情報がもらえると考えるかもしれませんが、「株式投資をするべきだ」という洗脳を受けた挙句、出口で「口座開設申込書」を配られる、といったことも多いようです。最初から株式投資をすると決めて参加するならば構いませんが、そうでない場合は警戒心を持ちたいものです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

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