経済学では、別の選択肢を選んでいたら得られたであろう利益を「機会費用」と呼び、常に念頭に置くことが重要だと考えます。街頭で募金を募るより、同じ時間アルバイトしたお金を寄付したほうが、若手営業マンにもタクシーを使わせたほうが、全体から見た利益は大きいかもしれません。本記事では「機会費用」について、経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

学園祭で焼き鳥を売り「3万円の儲け」が出ても…

あるサークルが学園祭で焼き鳥を売って3万円儲け、サークルの活動費に使ったとしましょう。学生たちは「3万円も儲かってうれしい」と考えるかもしれませんが、筆者は「学園祭に参加せず、サークルメンバー全員が焼き鳥屋でアルバイトしたら、30万円ぐらい稼げたかもしれない」と考えます。

 

学園祭で赤字が出れば、翌年からは焼き鳥屋の出店をやめて別の選択肢を探すでしょうから、「焼き鳥屋でアルバイトする」ことを思いつくかもしれませんが、少額ながらも黒字が出てしまったために、ほかの選択肢に気づかないわけです。

 

学園祭の焼き鳥屋は、皆でワイワイやることが楽しいという面もありますから、それはそれで構わないと思いますが、ビジネスの世界でも同様のことが多いのは問題です。

都心で農業をするより、土地を貸すほうが儲かるのに…

東京の都心で農業に従事している人がいるとします。農業をやめて土地を貸し出したほうが得なのに、もったいないですね。

 

このように、「いまの選択肢も悪くはないが、さらにいい選択肢があるなら、そちらを選ぶべき」というケースは少なくありません。いまが赤字なら、事業を終了して次の展開を考えるのでしょうが、事業が小幅の黒字だと、「ほかにもっといい選択肢があるかもしれない」ということに思い至らない場合が多いのですね。

 

都心の農業の例は少々極端ですので、「もったいない」と気づく人は多いかもしれませんが、そうした例でない限り、意外と気づかない場合も多いのです。

 

ある社長が社内のエリートを集め、新規事業を立ち上げたとしましょう。新規事業が小幅の利益しか稼がなかったら、社長は、

 

「これだけエリートを集めたのだ、みんなもっと頑張って稼げ!」

 

と、檄を飛ばすことでしょう。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

しかし、仮にその事業を解散してエリートたちを別の仕事に従事させたら、もっと大きな利益を上げてくれるかもしれません。なんといっても仕事ができる人たちなのですから。もし新規事業が赤字続きなら、社長にも「解散」という選択肢が浮かぶのでしょうが、小幅な黒字を稼いでいるばかりに、そこまで思い至らないのですね。

 

このような場合、「ほかの選択肢を採用したら稼げたであろう金額」のことを「機会費用」といいます。機会費用が実際の利益よりも多い場合には、「いまの仕事を続けるのはもったいない」と考えるべきなのですね。

 

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