米国株式市場は2月下旬に大幅調整
2月中旬に最高値を更新するも、長期金利の上昇加速でリスクオフ
■米国金融市場は、2月の中旬までは主要株式指数が最高値を更新するなど、堅調に推移していましたが、その後、長期金利の上昇加速につれて株式市場が下落するなど、不安定な状態となりました。特に、25日には10年国債利回りが1.6%台をつけ、株式市場はテクノロジー株や中小型株を中心に大きく調整しました。
実質金利の上昇を嫌気
金融財政主導の期待形成に警鐘
■2月下旬の長期金利の上昇は、ワクチンの浸透や財政規模のさらなる拡張を背景に景気の回復に対する期待の高まりが、将来の利上げ観測につながりました。特にバイデン政権のコロナ対策が減額されないまま、議会を通過する見通しとなったことや1月の小売売上がかなり上振れたことなどから長期金利が上昇しました。
■長期金利の上昇は実質金利(名目金利-期待インフレ)の上昇につながり、これまで株式市場を支えてきた、緩和的な金融環境と未曽有の財政政策に頼った期待形成を改めて考え直す機会となりました。
米国株式市場の軸足は業績へ
■2021年は、金融緩和政策と大型の財政政策が継続されつつ、経済活動再開への期待が一段と高まるでしょう。実質金利の水準は足元では歴史的に低く、株式市場を支えていると考えられます。ただし、今後は名目金利、実質金利の上昇に注意を払う展開となりそうです。そうした中で、特に業績の回復が重要なドライバーになると思われます。足元の株式市場は21年の業績回復はほぼ織り込んでいると考えられ、当面上値が重くなる可能性はあります。それでも、ワクチンの効果が確認され、米国の大型景気対策が決定されれば、長期金利の上昇要因であると同時に、業績見通しにとって明るいニュースとなります。22年にかけて企業業績は大幅な増益が期待されています。米国株式市場に上昇余地はまだあると考えられます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『長期金利上昇で株高基調は転換点を迎えたのか』を参照)。
(2021年3月2日)
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