●4-12月期決算は依然として減収減益だが4-9月期の実績からは業績の回復傾向が確認された。
●業績は四半期毎の推移をみると明確に改善基調をたどっており、製造業の持ち直しがより鮮明に。
●市場の関心は来年度の業績へ、2ケタ増益の予想もあり一段の回復期待は日本株の支援材料。
4-12月期決算は依然として減収減益だが4-9月期の実績からは業績の回復傾向が確認された
日本では、3月期決算企業による4-12月期の決算発表がほぼ終了しました。そこで、今回のレポートでは、東証株価指数(TOPIX)を構成する3月期決算企業(金融を除く)について、2月17日時点で集計した1,347社の決算内容を検証していきます。なお、集計時点における決算発表の進捗率を確認しておくと、銘柄数、時価総額ともに約99.7%となっています。
はじめに、4-12月期累計の実績を確認すると、前年同期比で売上高は11.1%減、営業利益は25.2%減、経常利益は約14.7%減、純利益は15.2%減という結果になりました。依然として減収減益の厳しい数字となっていますが、4-9月期累計の実績を振り返ると、売上高が14.8%減、営業利益が41.6%減、経常利益が約37.0%減、純利益が39.0%減でしたので、業績の回復傾向が確認されます(図表1)。
業績は四半期毎の推移をみると明確に改善基調をたどっており、製造業の持ち直しがより鮮明に
次に、10-12月期の四半期実績を確認すると、前年同期比で売上高は5.1%減、営業利益は13.6%増、経常利益は37.9%増、純利益は42.1%増と、減収ながらも増益という結果になりました。前回の7-9月期は、売上高11.9%減、営業利益26.0%減、経常利益14.7%減、純利益13.8%減でした。また、4-6月期は、売上高18.6%減、営業利益52.6%減、経常利益50.2%減、純利益62.6%減でしたので、業績は明確に改善基調をたどっています(図表2)。
なお、10-12月期の四半期実績について、製造業、非製造業の区分でみると、製造業は前年同期比で売上高が2.6%減、営業利益は42.4%増、経常利益は58.6%増、純利益は64.4%増でした。一方、非製造業は、売上高が8.2%減、営業利益は16.1%減、経常利益は21.5%増、純利益は22.8%増でした。ここから、相対的に製造業の回復度合いが、より強いことが分かります。
市場の関心は来年度の業績へ、2ケタ増益の予想もあり一段の回復期待は日本株の支援材料
最後に、2020年度通期の業績予想を確認すると、前年度比で売上高は8.6%減、営業利益は24.4%減、経常利益は21.3%減、純利益は21.0%減となっています。参考までに、製造業の通期業績予想は、売上高が9.2%減、営業利益は9.7%減、経常利益は0.6%増、純利益は10.8%増で、経常利益と純利益は増益予想となっています。非製造業は、売上高が7.8%減、営業利益は39.5%減、経常利益は44.1%減、純利益は43.5%減の着地予想です。
今回は、市場予想を上回る決算内容の発表や、通期業績予想を上方修正する動きが目立ちました。ただ、市場の関心は、今年度の業績ではなく、すでに4月からの新年度の業績に移っているとみられます。3月期決算企業による新年度の業績予想は、次の決算シーズン(4月下旬から5月上旬)を待たざるを得ませんが、市場では前年度比で2ケタの増益も見込まれており、一段の業績回復期待は、日本株を支える大きな要因になると考えます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年4-12月期決算レビュー~業績回復傾向を確認』を参照)。
(2021年2月18日)
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト