東京23区…コロナ禍で県外への転出が多かったのは?
さらに都内から県外への転出が顕著となった、2020年6月以降に注目してみましょう。この期間、東京区部で県外から転入超過となったのは「品川区」304人増、「台東区」295人増、「千代田区」289人増、「墨田区」170人増のわずか4区(図表3)。
さらに最新の2021年1月の人口動態を見ていくと、県外からの転入超過になったのは「文京区」17人増と「中央区」15人増の2区だけです(2月9日現在「千代田区」は未集計)。
また2020年6月から同年12月、県外への転出人数が最も多かったのが「世田谷区」で2268人。「大田区」2164人、「江戸川区」2135人、「練馬区」1891人、「板橋区」1593人と続きます。
東京市部で県外から転入超過となったのは、26市中11市。その中で最も転入数が多かったのが「八王子市」で624人増。「町田市」431人増、「稲城市」176人、「小金井市」143人増、「小平市」136人と続きます。一方で最も県外への転出数が多かったのが「調布市」で239人。東京区部に比べると減少幅は小さくなっています(図表4)。
このように、明らかに新型コロナ感染拡大前と後では人口の流入・流出の傾向がガラリと変わり、東京において人口増の主役だった区部で人口減を記録するようになりました。市部でも県外への人口流出は目立ちますが、今後、区部からの人口流出の受け皿になる可能性を秘めているかもしれません。
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2015年の人口を100とした場合、2050年、東京区部の多くは人口増、東京でも一部のエリアを除き人口減と予想していました。今後、この推測も変わる可能性があります。
人口推計をもとに「東京区部なら今後も人口増加が見込まれるから」の謳い文句で不動産を購入した投資家もいることでしょう。しかしその理屈は、ウィズコロナ、アフターコロナでは通用しなくなる可能性も捨てきれません。
一方で、これまであらゆる分野で東京一極集中が問題視され、あの手この手で是正が模索されてきました。しかし一極集中の流れは加速していくばかり……。ところが新型コロナウイルスによって、この問題は解決されるのでは、ともいわれています。新型コロナウイルスの思わぬ副産物となるかもしれません。
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