日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「東京都の人口」。新型コロナ感染拡大によって郊外へと移住する人が増えているといわれていますが、どのような現状なのでしょうか。

2020年、県外への転出が顕著だった2区とは?

東京ではオリンピックがあり、そのあとも都心では大規模な再開発が目白押しで、今後も安定的な人口増加が見込めます……。東京五輪が開催されるはずだった2020年より前は、このようなことが定説でした。

 

しかし2020年、新型コロナウイルスの感染拡大で状況が一変。外出自粛によりリモートワークが当たり前になると、それまで通勤が便利だからと都内に住んでいた人たちのなかには「高い家賃を出して東京に住む必要はあるのだろうか」と、郊外を目指す動きが見られます。

 

東京都の人口推計を見てみると、2020年、東京区部の人口は2万4720人増、東京市部で1万1562人増でした。時系列で見ていくと、2020年1月から新型コロナ感染拡大による第1回目の緊急事態宣言が解除された2020年5月まで、東京区部で4万2122人増、東京市部で1万1338人増を記録していました。

 

第1回目の緊急事態宣言が終了した後、在宅勤務で通勤の必要がなくなったからか、感染リスクの高い東京を離れたい思いなどがあったのか、都外への転出が顕著になります。2020年6月から12月に限ると、東京区部で1万7402人減、東京市部では224人増。特に人口が密集する区部での人口減が目立つようになりました

 

市区単位で見てみましょう。2020年、区部で県外への転出超過を記録したのが「江戸川区」1324人減、「北区」164人減の2区。一方で県外からの転入超過を記録したのが「品川区」が3167人増。「杉並区」2658人増、「江東区」2357人増、「中野区」2116人増、「大田区」1889人増と続きます(図表1)。

 

出所:東京都人口統計課「東京都の人口(推計)」より作成
[図表1]東京23区「2020年県外転出入数」上位10 出所:東京都人口統計課「東京都の人口(推計)」より作成

 

市部で県外への転出超過を記録したのが7市。そのなかで最も減少幅が大きかったのが「武蔵村山市」で168人減。「羽村市」154人減、「青梅市」105人減、「福生市」35人減、「東大和市」31人減と続きます。一方で県外からの転入超過を記録したのが「町田市」で1456人増。「八王子市」1322人増、「府中市」1287人増、「国分寺」969人増、「三鷹市」861人増と続きます(図表2)

 

出所:東京都人口統計課「東京都の人口(推計)」より作成
[図表2]東京市部「2020年県外転出入数」上位10 出所:東京都人口統計課「東京都の人口(推計)」より作成

 

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