日本のがん検診受診率は、国際的に見ても低すぎる
このように見ていくと受診率の高い地域と低い地域には明らかな差があります。厚生労働省の「市区町村におけるがん検診の実施状況調査」を、上位常連の「山形県」と、不名誉ながら下位常連の「山口県」を比較して見ていきます。
胃がんの検診状況をみていくと、2県とも「検診を実施した」という市区町村からの回答が100%(全国平均96.3%)。そのなかで差異があるとすれば、「山形県」は「定員を設けていない」が80.0%に対し、「山口県」は47.4%、検診項目で「指針に基づく検診項目以外を実施した」が「山形県」が62.9%、「山口県」が10.5%。さらに受診会場は「山口県」が「市内の会場のみで受診可能」が100%なのに対し、「山形県」は「近隣市~県内の会場で受診可能」が40.0%と、山形県のほうが幾分、検診に積極的な姿勢が伺えます。
一方で「山口県」は「休日、早朝、夜間検診を実施した」が89.5%、「山形県」は65.7%と、「山口県」の柔軟性を見てとれますし、自己負担についても、「自己負担なし」が「山形県」で2.9%、「山口県」は5.3%と大きな差は見られません。
都道府県、市区町村の対応に、検診率を左右するほどの差異は見られない、といえるでしょう。
しかし日本のがん検診の受診率は国際的に見ても低く、たとえば女性の子宮頸がん、乳がんの検診受診率は、アメリカやイギリスで7~8割、お隣の韓国は5~6割に対し、日本は4割ほど。極めて低いのが実情です。
がん検診は、会社で行われる場合のほか、健康増進法第19条の2に基づく健康増進事業として市町村が実施しています。現在の実施状況は[図表6]の通り。ぜひ定期的に検診を受診して、自身の健康を保っていきたいものです。