仲良しきょうだいが、父の死後…
鈴木さんは3人きょうだいの長女です。今回、鈴木さんの父親が81歳で亡くなり相続が発生しました。母親はすでに他界しています。
長女の鈴木さんと次女は家を出て独立し、長男家族が父親と二世帯で同居し、仲良く暮らしていました。鈴木さんと次女は年末年始や夏休みの長期休暇を利用して帰省するなど、きょうだい間、親子間の関係も良好です。
ところが、父親の死後に自筆証書遺言書が見つかり、きょうだいの関係が悪化してしまいました。遺言書に「自宅不動産を長男に相続させ、預貯金は3人で均等に分けてください」と書いてあったからです。この遺言書の内容に長女の鈴木さんが納得できず、分割協議がもつれてしまいました。
●自筆証書遺言書の問題点
まず今回の教訓は遺言書が「自筆」であった点です。自筆証書遺言書は書く際は簡単ですが、法律上の「遺言書」として認められるためには、家庭裁判所での「検認」という手続きが必要となります。この検認を受ける手続きが本当に大変なのです。
検認の手続きのため、裁判所に出向く必要があります。一般の方の場合、これだけでも精神的にストレスとなるでしょう。さらに相続人のなかで非協力的な人が1人でもいれば前に進みません。そもそも自筆証書遺言書は形式に当てはめて書かれていなければ無効となります。日付の記載がなかったり、印鑑が押されていないなど、何か一つでも不備があると法律上の遺言書として認められません。
封印されている遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人が立ち会いのうえ、開封します。家庭裁判所に持っていく前にうっかり開封しても無効にはなりませんが、トラブルの原因になります。相続人の誰かが本人の筆跡と違うなどと言い始めたら大変です。筆跡鑑定が必要だからです。本人の日記や手紙などがあればいいですが、なければ本人の筆跡であると証明するのが難しくなりかねません。
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