コロナ禍にあって、住宅ローン返済の負担にあえいでいる人も多いと推察されます。実は住宅購入による家計の負担は、購入者の懐具合だけでなく、その時代の経済情勢によっても大きく異なり、現在とバブル絶頂期にあった1980年代を比較してみれば、その違いは明らかです。本記事では、過去30年間の新築マンション価格と住宅ローン金利、一般サラリーマンの給与の推移を見ながら、住宅購入の家計への負担についてシミュレーションしていきます。

年代によって「住宅ローン負担」はどれだけちがう?

 

1950年に住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)が住宅購入資金の貸付業務をスタートしてから、「お金を借りて家を買う」というスタイルが徐々に定着していきました。住宅金融公庫に次いで、民間金融機関も住宅ローン事業に参入しはじめ、この新たな融資制度のおかげで一般のサラリーマンでもマイホーム購入が容易になり、多くの日本人が「家を持つことが人生の目標、幸せな家庭の象徴」と考えるようになります。

 

 ★1950年代★ 

 

日本で初めて売り出された新築分譲マンションの価格は、3LDKファミリータイプで230万円ほどでした。現代と比べて物価が安かったためこのような低価格でしたが、当時のサラリーマンの平均年収も20万円前後でしたから、家計に占める住宅ローン支払いのウエイトは現在とさほど変わらなかったかもしれません。そして驚くことに、当時の住宅ローン金利は8%を優に超えていました。

 

 1980年代前半 

 

この頃から、住宅ローン金利は緩やかに下降していきます。下降したといってもマイナス1%~2%(金利6%~7%)程度です。当時のサラリーマンの平均月収は25万円(年収300万円前後)まで上昇しますが、新築マンションの価格相場も3,000万円台まで上昇しています。この時期にマンションを購入したら、月々どのくらいの返済額になるのかシミュレーションしてみましょう。

 

借入額3,000万円×金利6%(変動・返済期間35年)=月額17万1,056円

 

月収の約7割が住宅ローンで消えてしまう計算になります。

 

 ★1980年代後半★ 

 

住宅ローン金利、マンション価格相場ともに高騰します。サラリーマンの平均月収は30万円(年収400万円前後)、マンション価格相場も6,000万円台まで吊り上がり、住宅ローン金利は8%台に逆戻りします。

 

借入額6,000万円×金利8%(変動・返済期間35年)=月額42万6,156円

 

返済額が月収を超えてしまっています。しかし、これだけ高額でもマイホームを買える富裕層がいたのです。まさにバブル経済期の到来です。都心では10億円超の超高級マンションも売り出されました。

 

 ★1990年代初頭★ 

 

マンション価格相場は9,000万円台、住宅ローン金利は9%台まで吊り上がります。

 

借入額9,000万円×金利9%(変動・返済期間35年)=月額70万5,593円

 

もはや庶民に許される買い物ではありません。サラリーマンの平均月収も横ばいのままでしたので、購入検討の余地はありません。庶民のマイホームへの夢ははるかに遠のきました。

 

 ★1990年代中盤★ 

 

日本経済はバブル経済崩壊のときを迎えます。マンション価格相場は5,000万円台、住宅ローン金利は一気に3%台まで急降下します。

 

借入額5,000万円×金利3%(変動・返済期間35年)=月額19万2,425円

 

当時のサラリーマン平均月収が30万円前後でしたので、住宅ローン支払い額はその6割程度となりました。バブル崩壊により、庶民の夢が再び戻ってきたのです。

不動産市場は混沌、指値(値引き)が入れやすい状況に

 

住宅ローン金利の数値で考えれば、史上最低利率のいまが買いどきと考えることができます。それはマイホームだけでなく、投資不動産の購入も同じです。

 

多くの投資家は「コロナ禍の影響で不動産市場が混沌としている。オリンピック終了まで待たずとも、いまが買いのチャンス」と考えているようです。現在は、なんらかの理由で保有資産を現金化しなくてはならない人が増えており、指値(値引き)が入れやすいといわれます。この好機を逃す手はありません。

 

ライフプランnavi

 

 

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※本記事は、「ライフプランnavi」に掲載されたコラムを転載・再編集したものです。

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