事業で赤字が出たら「申告する」「申告しない」どっちが得か?

「毎年確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年1月頃になるとこのような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているという。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

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事業所得であれば絶対に申告すべき

正解:節税に活かせるので、かならず申告しましょう

 

開業届を提出して事業所得にするメリットは、事業で赤字が出たときにも発揮されます。具体的には「赤字を損益通算できる」というものです。

 

なかなか理解しにくいしくみなので、順を追って説明します。

 

たとえば事業所得がある人が、1年間の売上と必要経費をくらべたところ、赤字になったとしましょう。このとき、給与所得などの他の所得(総合課税所得)があれば、その所得と事業所得の赤字を合算することができます。そうすると給与所得などにかかる税額が少なくなり、還付金を受け取ることができます。

 

開業届を提出して事業所得にするメリットは、事業で赤字が出たときにも発揮されるという。(※写真はイメージです/PIXTA)
開業届を提出して事業所得にするメリットは、事業で赤字が出たときにも発揮されるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

このように、わずかでも赤字の穴埋めをしたいというときに、損益通算はひじょうに役立ちます。この損益通算が、雑所得の場合は認められないのです。

 

ですから、極端な例ですが、1年間で給与所得が1000万円、副業の赤字が1000万円だったとすると、確定申告においては、「給与所得1000万円、雑所得ゼロ」として計算されます。じっさいはお金が手元になくても、給与所得1000万円をベースにして税金がかかってしまうというわけです。

 

もし、給与所得1000万円、事業所得の赤字が1000万円であれば、損益通算ができますから、税金はかかりません。このように、赤字が出た場合に、事業所得なのか、雑所得なのかは大きな問題になります。

 

それでは、冒頭の設問に戻りましょう。もうおわかりのように、事業所得であれば絶対に申告すべきです。一方、雑所得であれば損益通算ができないため、申告せずとも問題ありません。

 

しかも、青色申告にしていれば、さらなる節税効果を期待することができます。先に少し触れましたが、青色申告の特典のひとつである「損失の繰越し・繰戻し」を使うことができるからです。

 

「損失の繰戻し」とは、赤字を過去の年分にさかのぼって合算する方法です。令和元年分の事業所得が100万円の赤字という人がいたとして、この人の平成30年分の所得が300万円であれば、300万円-100万円=200万円として所得税等を計算することが可能です。

フリーライター

1981年、福岡県生まれ。西南学院大学商学部卒業。2004年に東京国税局の国税専門官として採用され、以後、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事。2017年7月、東京国税局を辞職し、フリーライターに転身。書籍や雑誌、Webメディアを中心とする精力的な執筆活動に加え、お金に関するセミナーも行っている

著者紹介

連載「得なのはどっち?」難しい確定申告を分かりやすく解説

確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

小林 義崇

河出書房新社

クイズ形式で出題。ベスト・チョイスはどっちか? 青色申告or白色申告。開業届を出すor出さない。家族を雇うorパートを雇う。iDeCo or小規模企業共済。郵送で申告or e‐Tax。国税専門官として数多くの申告相談に携わった著者…

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