オリンピック特需を受け、各地で大規模な再開発が目白押しです。虎ノ門、渋谷、そして下町の立石にまでその波が迫っています。しかし、今年になって想定外のコロナ襲来、オリンピック延期…。都心の大規模再開発の行方はどうなるのでしょうか。そして、話題となった選手村改装マンションの売れ行きは? 気になる再開発現場の近況をレポートします。

下町の人気飲み屋街にも「再開発の波」が…

 

「せんべろ(=千円でベロベロに酔える)の聖地」ともいわれる京成押上線「京成立石」駅前の再開発が始まっています。現在施行されているのは駅北口(立石駅北口地区第一種市街地再開発事業)で、地下2階・地上35階と地下3階・地上13階の複合ビル2棟が建設され、完成後は葛飾区役所本庁舎などが入居する予定です。昔ながらの味わいある商店街の取り壊しを惜しむ声もありますが、京成押上線の連続立体交差や狭隘道路の拡張工事とも連携しているため、街のインフラが整備される事業を受け入れざるを得ません。

 

線路を挟んだ駅南口の再開発も予定されています。南口は午後2時の開店から満席の居酒屋「宇ち多゛」や立ち食い寿司の「栄寿司」など人気店が林立するエリアです。細い路地状の商店街には惣菜店や生活雑貨店がひしめき合い、どの店も活気に満ちています。こちらも狭隘道路や老朽化した建物が多いため、再開発は必至なのかもしれません。

 

関係者は「メディア等でも取り上げられている飲み屋街など、良いところは継承していきたい」(葛飾区都市計画審議会会議録より)と考えているようです。この風情を残しながら新たな街づくりを考えるとなると一体どのようなマスタープランが出来上がるのか楽しみです。

オリンピック延期による「晴海フラッグ」の近況

 

オリンピック選手村のクラブハウスをリフォームして分譲販売するという、斬新なアイディアで注目を浴びた「晴海フラッグ」。総戸数5,632戸(賃貸住宅含む)の住宅と、店舗、保育施設、介護住宅、商業施設を併設する大規模複合開発の街は、いまどうなっているのか気になります。

 

同物件のホームページには「第32回オリンピック競技大会、および東京2020パラリンピック競技大会の延期を受けて、現在は販売活動を一時休止しています」とあるので、主立った販売活動は行っていないようです。すでに第1期販売は終了し契約者もいますが、もともと2023年引き渡しだったものが1年遅れてしまうため、解約を希望している人もいるとのこと。都心・湾岸エリアの新築マンションとしては低価格(坪単価300万円前後)の物件ですが、今後のオリンピック開催も先行き不透明ですし、いまのところ、前向きに検討しようという人は少ないかもしれません。

下町の風景が消える一方、再開発は都市機能向上を促進

 

東京オリンピックの開催を見込んで、東京都内の各エリアで再開発事業に拍車がかかりました。

 

虎ノ門では30年間も頓挫していた事案が動き出し、渋谷ではこれまで交わる機会がなかった区と鉄道が団結し、立石では希少な昭和の下町の風景が消えつつあります。

 

オリンピックを起因とする再開発は都市機能を向上させ、コロナ禍は新しい生活様式を私たちにもたらしました。いまが変革のときと受け止め、この時代を賢く生き抜いていきましょう。

 

ライフプランnavi

 

 

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※本記事は、「ライフプランnavi」に掲載されたコラムを転載・再編集したものです。

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