しかし、中小企業では、相続などによって親族に株式が分散保有されているケースは珍しくありません。社歴の長い会社だと、少数株式を保有していた親族にも相続が発生していて、思わぬところまで株主が広がっていることもあります。
“いとこ”くらいなら、面識のあることが多いでしょうが、いとこの子となると、親しく付き合っているということは珍しいと思います。さらに、離婚や死別などの事情で血縁のない配偶者へ株が渡っていくと、株主に連絡を取ることすら難しくなるケースもあります。そうなると、株式譲渡の方法でのM&Aは非常に困難になります。
M&Aを検討してアドバイザーに相談をする際には、現在の株主の状況が分かる書類、具体的には会社に備えられた株主名簿または法人税申告書の「別表二」を用意して、株主構成を必ず確認します。そして、株主が多く、株式が広く分散してしまっている場合などは、その対応策を早期に検討する必要があります。
篠田 康人
名南M&A株式会社 代表取締役
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