後継者がいない、将来、事業を維持できるか不安…。このような悩みを抱えている経営者が増えています。大切に育ててきた会社を承継する人が身内や社内にいない場合、選択肢として考えられるのがM&Aです。しかし、日本ではM&Aについてマイナスイメージをもつ人が多く、M&Aの本来の意義や内容が十分に浸透しているとはいえません。今回は、篠田康人氏の著書『まんがでわかる 実録!中小企業のM&A』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、M&A成功の秘訣を解説します。

 

多くのM&A会社では、個別相談の段階でM&A実現の可能性があると判断できれば、譲渡価格の概算見積価格を提示します。

 

ここでぜひ注意してほしいのは「高い譲渡価格の見積もりを出す業者が良い業者とは限らない」という点です。

 

なぜなら、M&Aは売り手と買い手との個別の相対取引です。そのため、いくらM&A業者や売り手が、「この会社には◯億円の価値があるはずです」と主張しても、買い手がそれに納得しなければ、絶対にM&Aは成立しないからです。最終的に譲渡価格を決めるのはあくまで買い手であり、それはM&A市場の「相場」からかけ離れた価格にはなりません。

 

それにもかかわらず、M&A仲介会社のなかには、「御社ならこれくらいで売れますよ」と、市場相場よりも高いと知りながら高額な譲渡価格を示して、アドバイザリー契約を結ばせようとする悪質な業者も、残念ながら存在しています。そして、あとの交渉段階でなんだかんだといって譲渡価格を引き下げるのです。

 

そういう業者のワナにかからないためにも、売買価格を決めるのは最終的には買い手であることをよく理解しておきましょう。そのうえで、複数のM&A会社の意見を聞くこと自体は悪いことではありませんが、「相見積もり」のような感覚で、高い譲渡価格を出してくれるM&A会社を探すことには、基本的にはあまり意味はありません。

M&Aの進行プロセス②:アドバイザリー契約の締結

M&A実現の可能性があり、M&A費用、進め方などについてM&Aアドバイザーの説明に納得できたら、アドバイザリー契約を締結します。

 

契約締結後は、さらに詳しい資料やヒアリングに基づいて、企業概要書・評価書、および通称「ノンネーム」と呼ばれる資料が作成されます。企業概要書・評価書は、詳細な企業の内容が分かる資料であり、「ノンネーム」は、その名のとおり企業名は入らず、概要のみが分かる簡易版の資料です。これらの資料を使って買い手を探していきます。

 

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まんがでわかる 実録!中小企業のM&A

まんがでわかる 実録!中小企業のM&A

篠田 康人

幻冬舎メディアコンサルティング

「後継者がいない」 「事業再生しないと生き残っていけない」 「将来、事業を維持できるか不安」 このような悩みを抱えている経営者が増えています。 大切に育ててきた会社を承継する人が身内や社内にいない場合、選択…

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