「毎年確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年1月頃になるとこのような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているという。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

年間最大65万円の特別控除が受けられる

では、青色申告のおもなメリット3点を紹介しましょう。この他にもメリットはあるのですが、多くの人にとって活用しやすいものをピックアップしました。

 

小林義崇著『確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!』(河出書房新社)
小林義崇著『確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!』(河出書房新社)

まずは、「青色申告特別控除」です。これは年間で最大65万円の特別控除を受けられるというもので、所得税だけでなく、住民税や国民健康保険料も下げてくれます。

 

その節税効果は、65万円に税率を掛けると明らかです。もし、所得税と住民税を合計して30%の税率であれば、65万円×30%=19万5000円もの節税効果を毎年得ることができます。

 

ただし、青色申告特別控除には、65万円と55万円、10万円の3パターンが存在し、65万円の特別控除を受けるには、正規の簿記のルールで記帳することや、期限内申告、電子申告または電子帳簿保存をするといった条件があります。確定申告の期限から1日でも遅れると、青色申告特別控除を65万円にすることはできません。

 

青色申告の2つ目のメリットは「青色事業専従者給与」です。

 

これは、家族を雇って支払う給与を全額必要経費にできるというもの。じつは、青色申告でなければ、家族への給与を全額必要経費にすることはできないのです。

 

個人でビジネスをしていると、家族に仕事を手伝ってもらうこともあるでしょう。私もフリーライターとして独立してからは、妻に事務作業の一部を手伝ってもらっています。その対価を必要経費にすることは、ひじょうに大きな節税メリットになります。

 

3つ目は、「損失の繰越し・繰戻し」です。こちらについては、具体的な事例を出したほうがイメージしやすいので、別の記事であらためて説明します。

 

このように青色申告には、少なくない節税メリットがあります。もし、事業所得、不動産所得、農業所得を得ている人であれば、積極的に活用することをおすすめします。

 

※本記事は「確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?」(河出書房新社)の一部を抜粋し、2020年12月現在の法令等に合わせ加筆したものです。法改正などにより、内容が変更となる可能性があります。

 

小林 義崇
フリーライター 元国税専門官

 

 

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確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

小林 義崇

河出書房新社

クイズ形式で出題。ベスト・チョイスはどっちか? 青色申告or白色申告。開業届を出すor出さない。家族を雇うorパートを雇う。iDeCo or小規模企業共済。郵送で申告or e‐Tax。国税専門官として数多くの申告相談に携わった著者…

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