「発達障害かもしれない」と、本人も周りも思っても…
後天的な身体障害の場合、たとえば事故で車いすが必要になる、腎臓機能障害で人工透析が必要となるなどの場合は、治療で休職し、回復後、障害手帳を取得し、復帰した時に障害者雇用で就労継続となるということはありますが、発達障害の場合はそうはいきません。
発達障害かもしれないという時点では、障害者の就労支援としては動きようがありません。本人の理解、受診、障害の受容と、障害者雇用の環境整備、それらは一様には進みません。
昨今では職場における発達障害の理解も進んでいる
昨今では職場における発達障害の理解も進んで、対応の仕方もたくさん紹介されるようになりました。また職場のメンタルヘルスを支援する会社も増え、EAP(Employee Assistance Program)を提供するところも増えてきました。
これらは雇用側である企業への支援です。発達障害の職員がいた場合、上司はどのように対応したらよいのかというノウハウを教えてくれます。
それは障害者雇用の場合や、上司などがその職員が発達障害の診断を受けていることを知っているのであれば、有効に機能するかも知れません。しかし、発達障害かもしれない段階では難しいです。
精神障害者への対応は、だれでもできるわけではない
実際に、発達障害者へのアプローチを、障害者雇用を前提としないで行うことは、精神科的な、半ば専門的な配慮を要求されるハイレベルな話です。精神障害者への対応はだれでもできるように思われているかもしれませんが、そう簡単なことではありません。
専門的知識だけではなく、その人の資質も大きく関係しますし、習得にも時間がかかります。また対応する人のストレスマネージメントも欠かせません。職場は仕事をする場所ですから、人的にも時間的にも余裕がないのが現状です。
全般的に、仕事でのストレスのリスクが指摘されており、ストレスチェックなども導入されています。当然ながら、精神的不調のある職員は、発達障害の傾向がある人ばかりではありません。