本記事は、学習塾・灘学習院の学院長である江藤宏氏の著書『東大・京大に合格する子どもの育て方』より、むやみやたらに習い事をさせることの「無意味さ」について解説します。

習い事は「頭を使うかどうか?」を基準にする

計算能力を身につけるにしても、小学校に入学してからでも十分間に合います。だから幼稚園の頃から習い事などする必要はないのです。それでもあえて何か習わせたいと考えるなら、日本古来の習い事や音楽をお薦めします。なぜなら、そうした習い事では、学ぶ際に集中力を要求されるからです。

 

例えば習字などがその典型でしょう。決して急がされることなく、落ち着いて、丁寧に字を書く。習字を習えば、きれいな字を書けるようになることに加えて、一定時間一つのことに集中する力が養われます。後に算数の問題を集中して考える訓練をすることを思えば、習字のように集中力を養えるお稽古ごとを選ぶのがよいでしょう。

 

あるいは手軽に始められて、ゲーム感覚の楽しさもある将棋や囲碁もお薦めです。駒の動かし方さえ覚えれば、とりあえず始めることのできる将棋なら、一人でも詰め将棋で楽しむことができます。もちろん、将棋は頭を使うゲームです。頭を柔らかくする訓練としても効果があります。

 

小学生になれば、算数の問題を解くことが考えるための最高の練習になります。この場合は、計算問題ではなく文章題に取り組みましょう。計算問題は機械的に計算するだけで、頭はほとんど動いていません。これに対して文章題は、問題文に描かれている情景を頭の中で想像することが、問題を考えるスタートになります。

 

想像は頭を使います。例えば「りんご2個を、3人で分けたい。どのように分ければよいか」という問題なら、2個のりんごと3人の人を思い浮かべるでしょう。これも頭を使う訓練になります。さらに図を描くようにすれば、よりよい訓練になります。

 

もう一つ、早い時期から取り組ませてあげたいのが、本を読むことです。読書もまた頭を鍛える最高の訓練の一つです。特に子ども時代の読書が、大人になってからの意識や能力に影響を与えます。

 

読書の有効性は明らかです。そこで幼稚園から小学校低学年の子どもに薦めたいのが、親子で一緒に絵本を読み解くことです。絵本には必ず文章に関連した絵が描かれています。文章を読み、さらに絵も読むのです。

 

絵を読むとはどういうことか。描かれた絵には、必ず作者の意図が込められています。だから、まず絵の中に何が描かれているのかを一つ残らず子どもに観察させます。次は描かれているモチーフについて、どんな色が使われているのか、絵の中のどの位置に描かれているのか、その大きさはどうなのかなど、絵の細部を読み解かせます。

 

その上で絵と一体になっている文章をもう一度読みます。読みながら、絵の中に書かれているものの意味を子どもに問うのです。「どうして、これはここにあるのかな」「なぜ、これにはこんな色が使われているのだろう」「もし、この絵にこれが描かれていなかったら、どう思う」といった具合です。

 

これにより、それまで何気なく眺めていた絵に対する興味が湧いてきます。描かれているものすべてに意味があること、絵と文章の間には関係性(作者の意図)があることなどに気づくようになるでしょう。こうした訓練を続けているうちに、絵がなくても、文章から情景を想像できるようになります。文章を読んでも考える力がしっかりと養われます。

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