日本に住んでいるが、国籍は外国という「在日外国人」は300万人近くいます。もし相続が発生した場合、日本の法律に則って手続きは進めるものでしょうか。それとも外国の法律に則って進めるものでしょうか。相続税申告を数百件経験した相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の竹下祐史税理士が在日韓国人を例に解説します。

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「韓国の法定相続分」について

法定相続分は同じ順位の相続人が複数いる場合には均分となります。配偶者との共同相続となる場合(第1順位、第2順位の場合)、配偶者の相続分は直系卑属・直系尊属の一人当たりの相続分の5割増しとなります。

 

事例1:配偶者と第一順位の子ども二人が相続人となる場合

配偶者が1.5(3/7)、子ども1が1(2/7)、子ども2が1(2/7)の割合になります。

※日本の場合は配偶者が1/2、子ども1が1/4、子ども2が1/4の割合になります。

 

事例2:配偶者と第二順位の親一人が相続人となる場合

配偶者が1.5(3/5)、親が1(2/5)の割合になります。

※日本の場合は配偶者が2/3、親が1/3の割合になります。

「日本における相続税申告」について

被相続人が日本にお住まい(住民票がある)で、遺産額が基礎控除を超える場合、日本での相続税申告が必要です。対象となる遺産は、日本国内の財産、韓国の財産が含まれます。

 

日本の相続税の計算方法は、被相続人や相続人の住所地や国籍によって変わりません。被相続人が外国籍の方であっても、相続税の計算においては日本の民法による法定相続人の数と法定相続分によって相続税を計算します(韓国の法律による法定相続人と法定相続分は、計算上使用しません)。

「韓国における相続税申告」について

被相続人が日本にお住まい(住民票がある)の場合でも、韓国に所在する財産について韓国における相続税の対象となります(韓国の財産のみが対象となり、日本国内の財産は含まれません)。

 

韓国の相続税は、相続人の数による相続税額の変動はありません。

 

相続開始日(命日)の月の末日から6ヵ月以内(相続人全員が日本にお住いの場合は9ヵ月以内)に申告をする必要があります。

 

韓国の相続税は以下の通り計算します。

 

(1)課税価格

相続財産+みなし相続財産(保険金、退職金等)+相続開始前2年間の使途不明金
+相続開始前10年以内に相続人に贈与した財産
+相続開始前5年以内に相続人以外に贈与した財産-債務・葬式費用
+経済的実質主義による相続財産
=課税価格

※被相続人が非居住者の場合、葬式費用は控除できません。

 

(2)課税標準額

上記(1)の課税価格から以下の控除をマイナスします。控除のうち、代表的なものを挙げてみました。

 

①基礎控除 2億ウォン※1
②配偶者控除※2
③人的控除※3
④一括控除※4

※1 被相続人が非居住者の場合は、基礎控除のみが認められます。
※2 配偶者が実際に相続した金額が控除されます。ただし法定相続分(上限30億ウォン)が限度となります。
※3子ども控除が3000万ウォン、老年者控除が3000万ウォン認められます。
※4①~③の合計控除額が5億ウォンに満たない場合は5億ウォン控除できます。ただし、配偶者が単独で相続する場合は一括控除の適用はありません。

 

上記の他に、金融財産控除、災害損失控除、同居住宅相続控除等があります。繰り返しになりますが、被相続人が非居住者(日本にお住まい等)の場合に認められているのは基礎控除のみとなる点に注意が必要です。

 

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