人口との関係値をみていくと、「寺院」との相関係数は「0.63」、「教会」は「0.85」と、強い正の相関関係にあることがわかります。一方で「神社」との相関係数は「0.23」と、相関関係は認められないレベル。八百万神といわれるように様々な神が祀られている神社と、外国から伝来してきた仏教やキリスト教。分布にはその成り立ちが関係していそうです。
そして信者(各宗教団体が、それぞれ氏子、檀徒、教徒、信者、会員、同志、崇敬者、修道者、道人、同人などと称するもののすべてを含む)は、トータルで1億8132万9376人。ここで頭に疑問符が浮かんだ人も多いでしょう。信者数が総人口よりも多いという奇妙なことが起きているわけです。国勢調査によると、宗教を信仰しているのは、総人口の1割といわれています。つまり約1200万人。明らかに、信者数は多過ぎです。
さらに都道府県別にみていきます。人口に対して信者数が多いのが「長野県」で人口比366%。県民の3倍もの信者がいるという状況です。「東京都」328%、「島根県」259%、「山梨県」257%、「富山県」208%と続きます。
総人口よりも多い100%を超えているのは、実に35都道府県にのぼります。
この数字、各団体からの報告の合算。何をもって信者と数えるかは各団体によるので、旅先で立ち寄って賽銭を入れた神社でも「信者1人」と数えられている可能性があります。多くの日本人が宗教のごった煮状態のなかにいると考えると「総人口の1.5倍の信者がいる」という事実も納得がいくでしょう。
家計における宗教関係の支出は年々減少
日本人のなかで、宗教について語る際、いろいろな主張がなされますが、家計において「宗教に対していくらお金をかけているか」、総務省「家計調査」で客観的にみていきましょう。
2018年、家計における「信仰・祭祀費*」は、二人以上世帯で年間1万1,921円。年々減少傾向で、10年前の2008年には1万8,060円、さらに10年前の1998年は2万2,560円だったので、20年ほどの間に半減したことになります。
*寺の維持費、神社の氏子費、寺・神社への寄付及び信仰に関するもの。教会費、教会献金、宗教団体の会費、さい銭、お札、お守り、護摩、護摩木、納骨堂、墓地の管理料・使用料、寺の墓掃除代等