九州地方、北部にはなだらかな筑紫山地が、南部には…
九州地方の北部にはなだらかな筑紫(つくし)山地が、南部にはけわしい九州山地があります。
「九州で一番高い山はどこでしょう?」というクイズを出すと、多くの生徒が間違えてしまいます。よく返ってくる答えは「桜島(さくらじま)」「阿蘇山(あそさん)」です。確かに有名な山ですが、正解は「宮之浦岳(みやのうらだけ)」。
「えっ、それどこにあるの?」と思うかもしれませんが、その場所は鹿児島県の屋久島(やくしま)にあります。
南部に位置する鹿児島県や宮崎県は、とくに夏の降水量が多いのが特徴です。台風も毎年のように直撃し、学校が休みになることも多くあります。
学校が休みになった日、自分のいた場所が、すっぽりと台風の目の中に入ってしまったことがありました。鹿児島の中学校で寮生活をしていた私は、友達とコンビニに買い物に行きました。まるで映画『天気の子』に出てくるように晴れていたのですが、帰る頃には急に風が強くなり、雨雲が急接近。寮の先生にはもちろん厳しく叱られましたし、危険なので二度とやらないようにと誓ったものです…。
福岡県には「政令指定都市」が2つある。それはどこ?
九州でもっとも人口が多い福岡県。とんこつスープの博多(はかた)ラーメンや、辛子めんたいこでも有名ですね。
●鉄鋼業がさかんな北九州
福岡県には、2つの政令指定都市(せいれいしていとし)があります。「何それ?」と思いますよね。これは「政令(内閣の命令)で指定された人口50万人以上の都市」のことで、普通の市町村と比べると権限(決められる力)が強くなっているのです。
福岡県にある2つの政令指定都市は、福岡市と北九州市です。
まず、北部にあり、関門海峡(かんもんかいきょう)に面している北九州市から説明していきましょう。
北九州市は鉄鋼業がさかんな都市です。2015年に世界遺産に登録された八幡製鉄所(やはたせいてつしょ)は、1901年に操業(そうぎょう)が開始されました。鉄をつくるための工場です。なぜ、この場所になったのか。それにはいくつかの理由があります。
まず、原料が輸入しやすいということ。1つ目は鉄鉱石です。現在はオーストラリアからもっとも多く輸入していますが、八幡製鉄所が完成した頃は、どこからの輸入が多かったと思いますか? わざわざ北九州にした理由を考えてみると予想できそうですが、答えは中国です。近いから輸入に適していたということですね。
次に石炭です。これも現在はオーストラリアからの輸入が第1位ですよね。でも、日本はかなりの量の石炭を自給していました。1960年の自給率は、なんと86%もあったのです。ところが今やほぼ0%。
かつては、福岡県北九州市などに広がっていた筑豊炭田(ちくほうたんでん)や、福岡県南西部の三池炭鉱(みいけたんこう)が有名でしたが、どちらも閉山しています。
石炭を蒸し焼きにしたコークスは、鉄をつくるときに使います。
3つ目の原料は、日本国内で自給できる石灰石です。福岡県でもとれますし、山口県のカルスト地形で有名な秋吉台(あきよしだい)あたりで多く採取できます。
原料が近くでとれたり、輸入しやすかったりという理由から、北九州市に製鉄所がつくられていました。
原料の確保に適していた北九州市の鉄鋼業ですが、現在はそれほどさかんではありません。そもそも石炭や鉄鉱石の輸入先も変わりました。そのうえ、工業が発達して、さらに鉄が必要とされるようになった中部・関東地方で生産したほうが効率的だからです。
●福岡市は九州唯一の百万都市
福岡市についても解説しましょう。福岡市は政令指定都市というだけでなく、九州唯一(ゆいいつ)の百万都市です。人口が増え続けて、近年では150万人以上の人々が暮らしています。
山陽新幹線や九州新幹線の駅があるのは博多(はかた)駅です。福岡市なのに中心的な駅が博多駅というのがまぎらわしいですね。市の名前を決めるとき、福岡市にするか、博多市にするかで、ひと悶着(もんちゃく)あったと言います。「福岡」と呼ばれていた地域出身の人は福岡市に、「博多」と呼ばれていた地域出身の人は博多市にしたい。
そこで、議会で多数決をとったところ、同じ票数に…。最終的に議長が決めることになったのですが、その議長が「福岡」出身だったため、福岡市になったそうです。
でも、博多という言葉もよく使われていますね。「博多どんたく」というゴールデンウイークに開催されるお祭りや、伝統的工芸品の博多人形、博多織(はかたおり)などがあります。
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