争族、離婚トラブル、労働問題…弁護士事務所には今日も様々な相談が舞い込みます。そこで本連載では、弁護士法人アズバーズ代表の櫻井俊宏氏が、実際に寄せられたトラブル事例を紹介し、具体的な対策を解説します。 ※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

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警察が「なんとかしてくれない」意外な事情は…

1 駐車場の賃料不払いの場合は車を持っていってもらえるのか

 

本事例のような私有地への無断駐車が続いたときに、当然レッカー車で持っていってもらいたいと思うはずです。しかし、行政がそのようにしてくれる制度というのは私が知る限りでは存在しません。

 

では警察がなんとかしてくれるのでしょうか?

 

実は、警察は「民事不介入」といって民事の事件に関わることができません。犯罪が成立しそうな場合に限り、捜査をしてくれます。

 

本件では、最初は賃貸借契約に基づいて駐車をはじめたのであり、1回も賃料を支払わない問題行動であるとはいえ、犯罪ともいえないケースになります。

 

私的にレッカー車で持っていった場合、Aが現れた際「勝手に動かされた!」と言われる可能性があります。また、いずれにしろ高額の保管料等がかかるので現実的ではありません。

 

賃料を支払わずに置きっぱなしなわけですから、無断で公道にまで押し出し、公共団体に持っていってもらいたいところですが、Aが現れた場合に責められるリスクがあり、なかなかそういうわけにもいかないでしょう。

 

このことから、法律に則って解決していくのが通常です。

 

2 明渡訴訟

 

そこで、明渡の訴訟を提起します。建物の賃貸借契約がある場合に、賃料を支払わずに住み続ける者に対して行う、明渡訴訟と同じです。まず、訴訟を提起するためには車の持ち主が判明する必要があります。

 

もし実際に駐車場の契約を結んだAの持ち物ではなかった際に、裁判が空振りになってしまう可能性がありますので、車両のナンバーに基づき、陸運局にその車両の登録事項証明証を発行してもらいます。

 

その登録証に車両の持ち主の名前と住所が記載されているので、該当の名前と住所を記載して訴状を裁判所に提出します。これが訴訟提起です。裁判所では相手方の住所に訴状を送ります。それが届けば裁判が始まります。

 

しかし本件のような事例では、相手方は訴状を受け取らない場合が多いでしょう。その際は弁護士が相手方住所地を調査してから裁判所に申請することによって、訴状が届かなくても裁判が始まるようにすることができます。

 

この場合、相手方が裁判に出なければ勝訴することができます。

 

 

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