「家」が財産となる時代は終わりを告げた。これから都心部でも確実に起こるニュータウンを中心とした戸建て住宅の財産価値の崩壊。日本人が「家」に抱いてきた「財産」という価値観が根底から崩れていくという。本連載は多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『こんな街に「家」を買ってはいけない』(角川新書)から一部を抜粋し、住宅街が抱える問題と対策を明らかにします。

首都圏に膨大な空き家予備軍が存在している

ところで、この団塊世代と呼ばれる人たちは、どのくらいの数に上るのでしょうか。

 

通常、団塊世代とは、1947年から1949年に生まれた人たちのことを指します。戦後のベビーブーム世代の草分けです。

 

さらにこの団塊世代のうち、首都圏1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)に居住している人口は、合計で169万5000人(各都県調査による)に及び、世代人口の約26%が首都圏に在住していることになります。

 

また、首都圏在住の多くの団塊世代は、地方で農業など、親の職業を継ぐことなく、都会に出てサラリーマンを選んだ人たちです。核家族化が進み、自らが築いた家族形態が、今首都圏郊外に広がる戸建て住宅地です。

 

高度成長期から平成にかけて日本を牽引してきた団塊世代も、2022年からは、後期高齢者の仲間入りをすることになります。今は、まだまだ元気にリタイアメント生活を謳歌している人が多いのですが、人間は歳をとります。徐々に高齢者施設や病院との間を行き来するようになると、彼らが買い求めてきた都市郊外部の家が、空き家化していくことは容易に想像がつきます。

 

つまり、現在は首都圏においても今後空き家化が予想される膨大な空き家予備軍が存在していると言えるのです。

 

牧野 知弘
オラガ総研 代表取締役

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