物件トラブルのリスクは管理会社次第で変わってくる!?
本連載では購入にかかる各種手続き方法、費用等について詳しくご説明してきました。今回は、ご自身がオーナーになった後の管理や注意するポイントなどを説明したいと思います。
購入手続きが終わると、次に考慮すべきことは物件を管理する管理会社の選定です。特に遠く離れた日本から物件の管理をするには、信頼できる管理会社の選定が非常に重要になります。物件の管理会社によって、借主とのトラブル、賃料の未回収トラブル、敷金の取り扱いによるトラブル、またお部屋の修理に関するトラブル等が発生する可能性がありますので慎重に選定しましょう。
管理会社を選定するポイントとして、以下のような点を確認しておくと良いでしょう。
●透明性の高い、慎重・的確な資金の管理をしているか。
●下請け業者のコストコントロールをしているか。
●借主のクレームに対し、迅速かつ契約に沿った処理をしているか。
●日米の違いを理解し、オーナーと借主、現地の業者へクリアな説明をしてくれるか。
●リスク回避のための、迅速なサービスと報告をしてくれるか。
●投資物件の価値に影響を与えると予測される現地の情報を、速やかに報告してくれるか。
●現地の法律、市場の把握を行い、適切なサービスを提供してくれるか。
物件の管理費は、ロケーション・物件の状態・想定家賃で異なってきますが、一般的には賃料の8%~10%程が相場になります。
空室リスク自体は非常に低いマンハッタンだが・・・
次に考えておかなければいけないのが、空室リスクです。本連載の第1回でも触れましたが、マンハッタンは空室リスクが非常に低く、現在、ニューヨークの空室率は年間平均で1.5%前後を推移しています。とはいえ季節要因や管理組合の審査にかかる期間による空室リスクをある程度鑑みる必要があります。
基本的にアメリカでは11月頃のホリデーシーズンから2月頃までは、人の動きが少なく、不動産のマーケットもかなりスローになります。人の出入りも減るため引越しする人たちの割合も減り、借主募集にはあまり適していない時期になってしまいます。この時期に借主を募集する場合は家賃を少し低くしてマーケットに出したり、借主を連れてくる不動産会社に手数料を払う等の工夫が必要になります。
本連載の第6回に触れましたが、コンドミニアムの場合、購入時のみならず賃貸の場合も管理組合の認可が必要になるため、借主が書類を準備する期間、それを提出して審査を待つまでの時間を考慮する必要があります。審査に要する期間はコンドミニアムによって様々ですが、通常2週間~1ヶ月かかります。
その間オーナーは家賃収入が見込めないため、できれば前の借主の退去2ヶ月前から次の借主探しができる権利を賃貸契約書に盛り込み、空室リスクを下げることをお勧めします。
できるだけ早く借主を探すことも大切ですが、その後に賃料の未回収等のトラブルがあっては大変ですので、事前に借主の信用調査をしっかり行うことも非常に重要になります。一般的にマンハッタンでは、月額家賃の40~45倍の年間の収入が必要とされています。テナント候補者が少しでも経済的に不安な場合は、敷金を多めに要求する、数ヶ月分の賃料の前払いを要求する、あるいは保証人を立てるなどの条件をつけるのが一般的です。
海外での不動産投資が成功するか否かは信頼できる正しい管理会社選びにかかっていると言っても過言ではありません。できれば現地に足を運んで、実際の担当者とミーティングを持ち、慎重に選ぶことをお勧めします。