業績が右肩上がりの時が「会社の売り時」
M&Aを成功させて高値で会社を売却するのにもっとも重要なことがあります。それはタイミングです。やはりベストのタイミング、会社の“売り時”というものがあります。これは会社のタイミングと、業界のタイミングの両方があります。
M&Aの世界では、こんなことがいわれます。
「売りたくないときが売れるとき、売りたいときは売れないとき」
会社が右肩上がりで成長しているとき、会社を手放そうと考えることができる社長は少数です。しかし、業績がいいからこそ欲しいと考える買い手企業は多くありますし、当然ですが高値が付きやすいものです。
逆に、業績が落ちている会社では先行き不安から手放したいと考える社長が増えます。しかし、買い手としては何か大きな問題があるのではないかと訝りますし、価格も低く見積もられてしまいます。
業績が悪化して、いよいよ事業承継問題も待ったなしの状況になってから会社を売却したいと相談にいらっしゃる社長もいます。これでは時すでに遅し、です。ここまで来ると我々M&Aコンサルタントでも手の打ちようがないのが現実です。会社の株価は数分の1に落ちてしまっていたり、売ろうにも買い手がまったくつかず、最終的には会社の清算、倒産という例を今まで何度も見てきましたが本当に残念なことです。
何社も当たってみたものの、なかなかベストの相手が見つからず、結局いちばん最初の相手がよかったというのはよくあるケースです。買い手企業にもタイミングや事情があります。数カ月、1年と経てば状況は変わっていくので、いつまでも相手が待ってくれるわけではありません。
1度逃した売り時は2度とは戻ってきません。次に来るのは、形を変えたタイミング、それも1度めよりは確実に条件の悪いものであることがほとんどです。
業界再編は会社を高値で売却できるタイミングの一つ
そして、会社の最大の売り時は業界、業種ごとによってタイミングが異なります。再編が進む業界では、M&Aが盛んに行われます。このタイミングこそが、もっとも高値で会社を売却する売り時です。
業界再編のピークに向かって株価は上昇していきますが、どの業界でもピークはそう長くは続きません。売り手企業にとっては、このタイミングを逃すと株価は一気に下がってしまいます。
「大手のA社が積極的に再編を仕掛けている」
「先月、B社が大手グループに売却したらしい」
などといった業界の動向は同業者などから入ってきますが、正確な売り時を見極めるのは専門家でなければ難しいものです。経営戦略としてのM&Aを考えているなら、売り時を逃すことのないよう、早めに準備をして、M&Aコンサルタントに相談するとよいでしょう。
会社を高値で売却するための6カ条を以下のようにまとめました。
●信頼できる仲介業者に専任で依頼する
●数字だけでなく経営者の思いを伝える
●隠し事をしない
●トップ面談以降は1社に絞って交渉する
●業績のいいときが売り時
●業界再編のタイミングを逃さない