さらに性差で比較した際には、男性が1.26の減少に対して、女性のほうが1.70の減少と、女性のほうがコロナ禍の影響を受けているといえます。男性のほうが女性よりも就業率が高く、コロナ禍でも出社する光景はよく見られました。男性よりも女性のほうが社会とのつながりによる満足度は得られやすい状況にあったといえるでしょう(図表3)。
年代別にみていくと、低下幅が小さいのが20代、ついで40代。逆に大きかったのが70歳代以上、続いて60歳代となっています。高齢者のほうが重症化しやすいと言われている新型コロナ。そのため高齢者のほうが色々と気を使うことが多く、必要以上の外出は避ける人もより多かったでしょう。また若者でも10歳代は50歳代並の減少幅となっています。多く学生が休校で友人に会えなかったり、小中高で授業が再開されても、大学ではリモート授業だったりと、大人以上にストレスを感じていたのではないでしょうか(図表4)。
女性の満足度低下の理由は家庭にあり!?
さらに同調査では、働き方の変化と満足度についても言及しています。コロナ禍では企業の業績も二分されました。医療や福祉分野では、多忙を極める一方で給与には反映されていないと耳にします。飲食業では休業や時短営業を余儀なくされ、多くのサービス業では対面サービスが制限されています。この半年余りで、働き方は大きく変わりました。
そのなかで仕事の満足度の減少幅が大きかったのが、「保育・教育」関係。次に「サービス業」、「医療・福祉」、「小売業」と続きます。感染防止に気を遣い、業務量は増える一方で給与には反映されにくく、またテレワークを導入しにくい業種が上位を占める結果になっています。
内閣府の調査によると、テレワークの経験は、このコロナ禍で就業者の3割にも達し、さらに東京23区においては、最大6割の人がテレワークを実施したといいます。テレワークを実施した就業者の低下幅は1.06に対し、実施していない就業者は1.45と高くなっています。意思疎通がしにくい、仕事環境が整っていないなど、リモートワークにも問題はあるでしょうが、それ以上に、通勤の煩わしさから解放されるなど、働き方が変わったことで、生活の質が改善した人も多かった結果でしょう。