子どもの脳は、6歳で大人の脳の9割まで完成する
スキャモンの発達・発育曲線によると、子どもの脳は6歳で大人の脳の9割まで完成すると言われています。幼少期に急激な成長をみせる子どもの脳は、スポンジのように多くの物事を吸収します。好奇心も旺盛で、見るものすべてに興味を示し、すぐに触ってみたくなります。
特に、他人よりうまくできたもの、褒められたものは、成功体験として大きな自信を手にします。自信があるものは、誰かから言われなくても積極的に挑戦し、どんどん上達します。逆に、うまくいかないもの、他の人に比べて劣っているもの、できなくて怒られたものなどは、自信を失い努力する力をなくしてしまいます。
そして、小学校に入ると成績表により、“得意”が客観視されます。この6歳の時点で、自分の順位を認識するのです。成績が良い子は、次の成績で自分より成績の悪い子に抜かれると、とても悔しい気持ちになります。良い成績をとるために努力することが日常となり、自分でも気が付かないうちに勉強する習慣が付いていきます。
逆に成績が悪い子は、そんなものだろうと感じ、次の成績が悪くても、それを受け入れてしまうのです。もちろん、その後の努力で逆転は可能ですが、強いモチベーションや目標がないとなかなか順位を変えるパワーに結びつかないようです。つまり、脳の9割が完成する6歳の時点での順位が、将来のおおよその自分の順位を決めてしまうのです。
人が努力するモチベーションは3種類
人が努力するモチベーションは、大きく分けて3種類と言われています。1つは褒められること、2つ目は達成感を得ること、3つ目は高い目標があることです。しかし、小さい子どもは、達成感を感じにくく、明確な目標も立てられません。結局、子どもが頑張るモチベーションは、褒められることに尽きるといえます。
一見、役に立たなさそうな事柄でも、頑張っていることがあれば褒めてあげてください。将来の偉大な力の源になるかもしれません。
※本記事は連載『デキる社会人になる子育て術 元ソニー開発マネージャが教える社会へ踏み出す力の伸ばし方』を再構成したものです。
鬼木 一直
東京富士大学
入試広報部入試部長、IR推進室長/教授