コロナ禍の不景気下において、職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力である「社会人基礎力」を、就職希望者に求める企業が増えています。本連載では、書籍『デキる社会人になる子育て術 元ソニー開発マネージャが教える社会へ踏み出す力の伸ばし方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、東京富士大学経営学部教授である鬼木一直氏が「幼少期から『社会人基礎力』を身に付けておくことの重要性」について解説します。

子どもの脳は、6歳で大人の脳の9割まで完成する

スキャモンの発達・発育曲線によると、子どもの脳は6歳で大人の脳の9割まで完成すると言われています。幼少期に急激な成長をみせる子どもの脳は、スポンジのように多くの物事を吸収します。好奇心も旺盛で、見るものすべてに興味を示し、すぐに触ってみたくなります。

 

特に、他人よりうまくできたもの、褒められたものは、成功体験として大きな自信を手にします。自信があるものは、誰かから言われなくても積極的に挑戦し、どんどん上達します。逆に、うまくいかないもの、他の人に比べて劣っているもの、できなくて怒られたものなどは、自信を失い努力する力をなくしてしまいます。

 

そして、小学校に入ると成績表により、“得意”が客観視されます。この6歳の時点で、自分の順位を認識するのです。成績が良い子は、次の成績で自分より成績の悪い子に抜かれると、とても悔しい気持ちになります。良い成績をとるために努力することが日常となり、自分でも気が付かないうちに勉強する習慣が付いていきます。

 

逆に成績が悪い子は、そんなものだろうと感じ、次の成績が悪くても、それを受け入れてしまうのです。もちろん、その後の努力で逆転は可能ですが、強いモチベーションや目標がないとなかなか順位を変えるパワーに結びつかないようです。つまり、脳の9割が完成する6歳の時点での順位が、将来のおおよその自分の順位を決めてしまうのです。

人が努力するモチベーションは3種類

人が努力するモチベーションは、大きく分けて3種類と言われています。1つは褒められること、2つ目は達成感を得ること、3つ目は高い目標があることです。しかし、小さい子どもは、達成感を感じにくく、明確な目標も立てられません。結局、子どもが頑張るモチベーションは、褒められることに尽きるといえます。

 

一見、役に立たなさそうな事柄でも、頑張っていることがあれば褒めてあげてください。将来の偉大な力の源になるかもしれません。

 

※本記事は連載『デキる社会人になる子育て術 元ソニー開発マネージャが教える社会へ踏み出す力の伸ばし方』を再構成したものです。

 

 

鬼木 一直

東京富士大学

入試広報部入試部長、IR推進室長/教授

 

デキる社会人になる子育て術 元ソニー開発マネージャが教える社会へ踏み出す力の伸ばし方

デキる社会人になる子育て術 元ソニー開発マネージャが教える社会へ踏み出す力の伸ばし方

鬼木 一直

幻冬舎メディアコンサルティング

親の小さな心がけで、子どもの未来は大きく変わる!前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力が身に付き子どもの可能性を最高に伸ばす家庭教育メソッド。すぐに役立つ、子どもがすくすく育つ、企業のマネジメントと教育現場…

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