日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、先日閣議決定された「自殺対策白書」から、「自殺防止」について考えていきます。

NPOの活動を支援する「寄付・遺贈寄付」

2019年は過去最少を記録した自殺ですが、2020年、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、再び増加傾向にあるといわれています。またSNSの誹謗中傷による自殺など、社会問題として語らえたのも最近のできごとです。

 

このような状況を何とかしようと、日本各地で多くの特定非営利活動法人(NPO法人)が活動をしています。このNPO法人の活動を支えているのが寄付です。認定・特例認定法人に限ると、財源のうち寄付金はは15.9%と、事業収益67.9%に次ぐ重要なものになっています。

 

一方、寄付は投資とは違い、金銭的なリターンは期待できません。寄付を行なった人は、なぜ寄付をしたのでしょうか。内閣府「市民の社会貢献に関する実態調査」によると、「社会の役に立ちたいと思ったから」が59.4%と最も多く、寄付を通じて社会貢献をしたいと考える人が大勢いることがわかります。

 

しかし日本では寄付文化が根付いていないのも事実。寄付文化の普及に取り組むNPO法人、日本ファンドレイジング協会によると、2016年、日本人の個人寄付総額は7756億円。一方、アメリカの個人の寄付総額は30兆6664億円。名目GDPに占める寄付の割合を比較しても、日本0.14%に対し、アメリカは1.44%。およそ10倍の差があります。

 

それでも状況は大きく変わりつつあります。2011年の東日本大震災の被災地支援で、その年、個人寄付額は一気に1兆182億円に。翌年の2012年は6931億円に落ち着いたものの、以降は右肩上がりで上昇傾向。徐々にではありますが、寄付文化は日本に浸透し始めています。

 

また期待されているのが、富裕層による遺贈寄付です。被相続人の遺産のすべてや一部を、法定相続人以外に無償で寄付するもので、被相続人の想いが社会貢献につながります。さらに遺贈寄付をすれば相続税の課税対象が下がるため、税金対策に繋がるというメリットもあります。

 

もちろん遺贈寄付にあっては、遺留分の配慮が必要など、注意すべきことがあります。素人判断では、思わぬ相続トラブルに発展し、被相続人の想いを遺せないこともあります。できれば専門家に相談するほうが安心です。

 

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