自殺が多い・日本は世界からみて異常
ここで問題視されているのが、若年層の自殺。自殺数はほぼすべての年代で急増期と比較して低下しているものの、20歳未満では1998年以降ほぼ横ばいで推移。また自殺死亡率もほぼすべての年代でピーク時前の水準よりも低下していますが、20台はその水準に戻ってなく、20歳未満では毎年のようにわずかながら上昇しています。
白書では、日本において若い世代の自殺が深刻な状況であるとしています。確かに、15~39歳の各年代の死因第1位は自殺という異常事態。男女でみてみると、男性では10~44歳で、女性では15~34歳で、死因第1位が自殺となっています。このような状況は、先進国でも日本だけ。その死亡率はダントツに高くなっています(図表3)。
「年収が低い=自殺が多い」は本当か
死亡要因には地域差があるように、自殺についても同様です。厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)の概況」(平成30年度)から都道府県別に自殺死亡率をみていくと、最も低いのが「徳島県」で人口10万人当たり12.4人。「石川県」12.9人、「京都府」13.3人、「岡山県」13.5人、「愛知県」13.7人と続きます(図表4)。
一方、最も多いのは「和歌山県」で人口10万人当たり21.2人。「青森県」20.6人、「岩手県」20.5人、「秋田県」20.3人、「福島県」19.7人と続きます。1位と47位では、1.7倍の差があることになります。
この差の要因はなんなのでしょうか。白書では、「自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きている」としています。原因・動機を最大3つまで計上することで、その傾向を出しています。それによると「健康問題」「経済・生活問題」「家庭問題」「勤務問題」の順に原因が考えらえます。
「経済・生活問題」で例としてわかりやすいのが「年収」。自殺死亡率と年収の都道府県別ランキングを比較すると、相関係数は「-0.93」と、負の相関関係にあることがわかります。つまり「年収が高ければ、自殺死亡率は低い」「年収が低ければ、自殺死亡率は高い」という関係です。はやり生きていくうえでも、希望をもつうえでも、「お金は大事」ということがいえます(図表5)。
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