売上3億円から時価総額1600億円に「起業して、IPO」の衝撃

起業をしたなら「いつか上場できるくらい、大きな会社にしたい」と多くの経営者が思っていることでしょう。本連載では、IPO・上場支援で数多くの実績をあげている株式会社タスク代表取締役の竹山徹弥氏にIPOの基本や必須事項、会社上場にまつわる裏話など解説していきます。今回は常に情報公開を求められる煩わしさがあるのに関わらず、なぜ多くの経営者がIPOを目指すのか、そのメリットに焦点をあてていきます。

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企業がIPOを目指す意義とは?

■IPOの意義

IPOとは「Initial Public Offering」の頭文字をとった新規株式公開という意味です。株式公開とは、株主が同族あるいは特定の少数者のみに限られている状態から、株式を証券市場に流通させることによって、広く一般の投資者に資本参加を求めることをいい(所有と経営の分離の明確化)、株式上場により会社の株式は多数の投資者に保有・取引され、また、金融商品取引法の規制のもとに株式の投資判断のための情報開示が行われます。

 

■関係機関の役割

IPOを成し遂げるためには多くの関係機関が関与しますので、まずは関係機関の役割を理解することが重要です。以下に主な関係機関を列挙します。

 

(1)監査法人

株式市場に上場している限り金融商品取引法に基づき当社の財務諸表(連結している場合は連結財務諸表)に対し監査法人より監査証明を得なければなりません。そのため、IPOする前はIPOを申請する期の前の2期分の監査証明を監査法人より得ることが必要です。

 

(2)金融商品取引業者(証券会社)

IPOするためには制度上、株式を引き受けてくれる主幹事証券会社の選定が必要です。IPOは主幹事証券会社の指導及び引受審査を受けなければ成立しませんので、主幹事証券兼会社は監査法人と並んで重要な関係機関となります。この他に上場後の不特定多数の株主を管理してくれる株式名簿管理人(信託銀行が多い)や有価証券報告書をチェック・印刷してくれる証券印刷会社やIPO前の成長資金を投資してくれるベンチャーキャピタル等が関係機関としてそれぞれの役割を有しています。

 

■上場準備における重要なポイント

上記よりIPOを実現するためには関係機関の指導を受けながら最低でも2.5年以上は準備しなければなりません。長いようですが中身の濃い期間となりますのであっという間に時間が過ぎていきます。上場準備において重要なポイントを3つお話しします。

 

1つ目は、この期間に上場後の事業計画や事業展開をじっくりと考える必要があるということです。IPOをゴールにしないことが重要です。上場するための計画ではなく、上場後の計画をイメージするということです。上場後の計画で失敗すると、未上場時の計画の失敗に比べ、信頼を取り戻すのに相当な労力を費やすこととなります。なかには再起できない企業も散見され、何のためのIPOか? となるリスクもあります。

 

2つ目は、IPO準備期間中に内部管理体制及び内部統制の構築を短期間で整備することとなり、上場会社として求められる要件を満たさなければ上場できませんので、何をどの時期に行わなければ(練習しなければ)いけないのかをスケジュールに基づき理解することも事業戦略同等に重要な考え方となります。たとえば社内規程の整備、内部監査制度の導入・運用、監査役会の組成・運用、コンプライアンス委員会の設置・運用、反社会的勢力の排除体制の構築、労務環境の整備、東京証券取引所への申請書類(Ⅰの部、各種説明資料等)の整備などアクションしなければならないことは盛りだくさんです。

 

3つ目は、上記を実現するためには人材の確保が必要です。月次決算の早期化や申請書類作成など、社長は上場後の情報管理体制を見据え、管理部門の人材増加によるコストアップを必ず頭に入れなくてはいけません。上場審査でも営業部門よりも上場後を想定したうえで、管理部門の体制について相当な審査が行われます。

 

このようにIPOは、上場会社に相応しい体制が整備できた会社のみに与えられる機会であり、上場後のメリットを享受する代わりに相当な負荷がかかるプロジェクトとなります。

 

みんなでこの会社を大きくしていこう(※画像はイメージです/PIXTA)
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株式会社タスク 代表取締役

1973年、アメリカ・ニューヨーク州生まれ。2003年に(株)タスクに参加し、2008年に取締役事業部長、2010年に常務取締役、2011年に専務取締役を経て2014年より現職。現在ではAIプロファイリング事業など新たな情報社会に向けたサービス展開を軸に7つの事業を統括する。著書に「経営者のためのIPOバイブル」等。

著者紹介

連載中小企業の経営者必見!「IPO」を目指す企業経営

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