また中小企業であれば様々な優遇制度を利用できるために、なかにはそのメリットを享受するため、あえて資本金額や従業員数を制限する経営者も多いのだとか。
そこで、中小企業基本法を改正し、税制上の優遇措置や補助金を受けられる定義を変えて、中小企業の再編や経営統合を促そうとしているのです。生産性が上がれば賃金の引き上げも考えられるので、従業員にとっては喜ばしいことかもしれません。
しかし早急な改革は企業淘汰を誘発するという懸念の声が広がっています。また新型コロナウイルス感染症によって厳しい状況が続いているだけあり、「弱者イジメだ!」「高い技術、人材の宝庫である中小企業を守るべきだ」「結局、国は大企業を優遇している」など、猛反発が起きています。
緊急事態宣言で大打撃の反動で、景況感は上向きに
そのようななか、中小企業庁は「中小企業景況調査」(2020年7〜9月期)の結果を公表しました。この調査は、全国の中小企業約1万9,000社を対象に四半期毎に実施しているもの。中小企業の業況判断、売上額及び経常利益等の実績(DI)と、今後の見通しについてまとめています。
「DI」(ディー・アイ)は、Diffusion Index(ディフュージョン・インデックス)の略で、企業の業況感や設備、雇用人員の過不足などの各種判断を指数化したもの。業況が「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いて算出します。
新型コロナ感染症の影響が顕在化する2019年10〜12月から、下記の通り「基調判断」を振り返ってみましょう。
中小企業の業況判断DIは、4期連続で低下したが、今後の見通しでは改善の動きが見られる。
■2020年1〜3月
中小企業の業況判断DIは、5期連続で低下した。
■2020年4〜6月
中小企業の業況判断DIは、急激に悪化し、6期連続の低下となった。
■2020年7〜9月
中小企業の業況判断DIは、持ち直しの動きがみられ、7期ぶりに上昇した。
このように、直近では7期ぶりの上昇がみられました。これは緊急事態宣言による経済の停滞で急激な経営環境の悪化に見舞われ、その反動による上昇とみられます(図表2)。
全産業の売上DIは、マイナス27.4(前期差40.0ポイント増)と2期ぶりにマイナス幅が縮小、採算(経常利益)DIは、マイナス27.4(前期差40.0ポイント増)と、こちらでも2期ぶりにマイナス幅が縮小しています。
さらに全産業の資金繰りDIでは、マイナス24.0(前期差24.3ポイント増)と6期ぶりに上昇。産業別でも、すべてで上昇がみられます。
このようにみていくと、新型コロナ感染症の影響として、マイナスのニュースばかりが目に付きますが、そのなかでも生き残っていこうとする、中小企業の力強さが感じられるでしょう。
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