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インドの通貨ルピーを取り上げます。世界的な新型コロナウイルス感染拡大初期の4月頃迄ルピー安でしたが、その後ルピーは概ね回復傾向です。コロナ感染が市場動向を左右する法則(?)から想定すればルピー安がイメージされますが反対の動きとなっています。新規感染者数のピークアウト、対外ポジションの改善、景気底打ち、金融政策などが下支え要因と見ています。​​

インド準備銀行:延期された金融政策決定会合は3名に任命で開催可能に

インド準備銀行(中央銀行)は2020年9月29日から10月1日(公表日)まで開催する予定であった金融政策会合(MPC)を延期し、10月7日から9日に変更しました。

 

延期された背景は政府による新たな(外部)委員の任命が遅れためですが、5日に3名の委員の任命が公表されたため、MPC開催の運びとなりました。

どこに注目すべきか:ルピー、コロナ感染者数、PMI、MPCメンバー

インドの通貨ルピーを取り上げます。世界的な新型コロナウイルス感染拡大初期の4月ごろ迄ルピー安が進行しましたが、その後ルピーは概ね回復傾向です(図表1参照)。コロナ感染が市場動向を左右する法則(?)から想定すればルピー安がイメージされますが反対の動きとなっています。新規感染者数のピークアウト、対外ポジションの改善、景気底打ち、金融政策などが下支え要因と見ています。

 

日次、期間:2020年2月8日~2020年10月8日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]インドルピー(対ドル)とコロナ新規感染者数の推移 日次、期間:2020年2月8日~2020年10月8日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

まずインドのコロナ感染ですが累計感染者数は700万人弱で米国に次いで世界第2位、新規感染者数は7万人超と米国を上回るなど厳しい数字が並んでいます。ただし、新規感染者はピークアウトした感もあるうえ、インドの感染者は回復率も高く、また感染者死亡率も低いなど、マイナスを打ち消す面も見られます。コロナの感染者数だけでなく、他のデータにも注目すればルピー安要因だけではないようです。

 

インドの景気回復も下支え要因です(図表2参照)。インドの製造業購買担当者景気指数(PMI)は8月には50を超え、4月には5.4と普段見られない低水準に悪化したサービス業PMIも9月には50をほぼ回復しています。もっとも、インドの4-6月期成長率は前年同期比マイナス23.9%と大幅に落ち込み、元の水準に戻るのは長期戦となりそうです。それでもインド株式市場は3月を底に足元まで上昇傾向です。

 

月次、期間:2018年2月~2020年9月 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]インドPMI(製造業、サービス業)と外国人株式投資 月次、期間:2018年2月~2020年9月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

対外ポジションの改善もルピーの下支え要因と見られます。貿易収支は内需(輸入)減少を背景とした消極的な理由ながら改善傾向です。また、海外からの株式投資は、短期並びに長期投資に改善が見られます(図表2参照)。ただ、海外からの債券投資は相対的に遅れています。

 

金融政策が比較的タカ派(金融引締めを選好)でインフレ率上昇の抑制に向け政策金利の据え置きを景気回復が鈍い中でも続けていることもルピーの下支え要因と見ています。インフレ率が6~7%台で高止まりする中、利下げはインフレ率の低下を待つ姿勢です。なお、新たに3人の委員が加入した10月9日のMPCでも政策金利を据え置きました。

 

なお、3人が加入したことで、インド中銀のMPCメンバーは合計9人となりました。従来の6人のメンバーは(時々スタンスを変更する)ダス総裁以外は概ねタカ派もしくは中立派と見られます。しかし今回加入したメンバー2人はハト派(金融緩和を選好)というのが市場の評価です。インド中銀は現在の方針を維持すると見込みますが、姿勢の変化に注意も必要です。

 

ドル安という新興国通貨に共通する下支え要因があっても下落する通貨がある中、インドルピーはここまで堅調でした。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新興国通貨:インドルピー、コロナ感染拡大でも底堅い』を参照)。

 

(2020年10月9日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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