「公害発生の恐れのある業種も建設できる場」はどこ?
■物件の価値は用途地域で違う
用途地域は大きく分けて、「住居系」「商業系」「工業系」の3種類に分かれる(図表1)。
住居系は、戸建ても多く穏やかな環境で子育てしやすい環境地域。商業系は店舗や飲食店などが多く、マンションなどに活用されることが多い。
工業系は工場などが多く、働きやすい環境を目指している地域だ。都市の環境保全や利便性などのために都市計画法に則って定めたもので、建設できる建物の種類や用途に制限を設けたルールがあり建ぺい率や容積率が変わってくるほか、規制が緩くなるポイントもあるので、それぞれの狙い目をしっかりと把握することが必要だ。
■専用地域それぞれの特徴と分類
【住居系】
(1)第一種低層住居専用地域
低層住宅の良好な環境を守る地域。高さ制限(10メートルもしくは12メートル)がある。店舗兼住宅や事務所兼住宅、小中学校や診療所などの建設は可能だが、店舗や飲食店などは建てられない。いわゆる閑静な住宅街。
(2)第二種低層住居専用地域
第一種同様に高さ制限があるが、床面積150平米以内で2階建て以下の店舗や飲食店、コンビニなどを建てることができる。日常生活に便利な住宅街といえる。
(3)第一種中高層住居専用地域
集合住宅などが混在した住宅地で、500平米以下のスーパーマーケットやコインパーキングも可能。日常の買い物がしやすい商業施設は充実するが、あくまでも住居専用地域のためオフィスビルは建てることができない。
(4)第二種中高層住居専用地域
1500平米までの飲食店や各種店舗、事務所などの建設が認められている。事務所も建てられるので職と住が近い。
(5)第一種住居地域
3000平米までの店舗やホテル、ボーリング場などといった娯楽、スポーツ施設を建てることができる。基本的に住居主体なのでパチンコ店やカラオケボックスは不可。大規模なマンションなどに向いている。
(6)第二種住居地域
(5)に加えて、パチンコ店やカラオケ店の建設ができる。あくまで住居の環境を保護するためにある地域なので、より慎重な配慮が必要になる。
(7)準住居地域
道路の沿道としての地域特性に相応した、住居環境を保護する地域。劇場や映画館、営業用倉庫などが認められる地域で、住居系用地では最も許容範囲が広い。
【商業系】
(1)近隣商業地域
近隣住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを目的にした商業地域。各種店舗や商店街が形成されるケースが多い。
(2)商業地域
店舗や事務所などが並ぶ、商業の利便を増進するための地域。相対的に地価が高くなるため、住宅が建てられることは少ないが、中高層マンションや超高層マンションが数多く建設されている。
【工業系】
(1)準工業地域
環境の悪化をもたらす恐れのない工業の利便を増進するための地域。ほとんどの建造物を建てることができるが、風俗営業や安全・防災上、危険性のあるものは建てることができない。マンションの供給も比較的多い。
(2)工業地域
工業に関しては、公害発生の恐れのある業種も含め全て建設できるとされている。住宅や店舗も可能だが、学校や病院、ホテルは建てられない。工場跡地の再開発などで大規模なマンションや分譲住宅とされることもある。
(3)工業専用地域
工業地としての土地活用を目的にしているので、住宅や店舗などは建設できない。公害の発生の恐れのある業種も含め全て建設できるとされている。
■商業地の土地の選び方
近隣商業地域はマンションなど階数の高い建物を建てるのに有利とされている。しかし、中にはこんな相談に駆け込んで来る人もいる。「近隣商業地域の土地を買ったのに10階建てのマンションを建設できない」。