フィリピン株式市場過去最大規模のIPO、公募期日迫る
このようなフィリピン株式市場ですが、9月24日、フィリピン証券取引委員会(SEC)は通信サービス会社、コンバージICTの上場計画を承認したと発表しました。同社はフィリピン証券取引所(PSE)のメインボードに上場し、最大415億5,000万ペソ(約904億円)の調達を目指すとしています。
コロナウイルスの大流行に伴うロックダウンによって、光ファイバー高速インターネットに対する強い需要が喚起されるなか、大きなフォローウィンドの中での上場となります。
コンバージICTはすでにフィリピンの人口の50%までをカバーできるブロードバンド・ネットワーク網をルソン中心に構築しており、今後、IPO資金を活用してビサヤやミンダナオ地方にも拡げる計画です。
同社の創業者デニス・アンソニー・ウィー氏は、中華系でパンパンガをベースに、テクノロジー、メディア、電力、不動産分野の複数の企業の役員を務める実業家で、アジア太平洋FTTH協議会の創設メンバーであり、リーダーでもあり、フィリピン通信業界の中心人物の一人。
今回のIPOでは、公募価格1株24ペソで最大約17億3,100万株を公開します。調達する資金のうち9割を光通信ケーブルの全国展開に向けた設備投資に充てる予定。BPIキャピタルとBDOキャピタルが共同主幹事、モルガン・スタンレーとUBSがグローバルコーディネーターに指名され、公募株式の約70%が外国人投資家に売却される予定で、海外からの人気も高くなっています。
今年のPSEへの上場は、新興スーパーマーケットチェーン、メリーマート・コンシューマー・グループ、大手財閥アヤラ・コーポレーション系の不動産投資信託(REIT)法人AREITに次いで3番目となります。
フィリピンは、財閥企業の経済や株式市場における支配力が強く、スタートアップ企業のエグジットがIPOではなく財閥になるケースも多く、IPOの数は年間5~6社と非常に少ないため、今回のような大型IPOに参加できるチャンスは超レアといえるでしょう。
実際IPOの数は、2014年は7社、2015年から2017年までは各々4社のみという低水準。2018年は、不動産・建設企業D.M.ウエンセスラオ(DMW)1社のみでした。2019年も、不動産賃貸・管理企業であるケプウェルス プロパティー フィルズ(KPPI)、ホームセンターのオールホーム(HOME)、ココナッツ製品のアクセリウム(AXLM)、そして、ジューススタンド・チェーンのフルータス(FRUIT)の4社のみでした。
新型コロナウイルス禍の2020年も低水準となりそうであるので、なおさら今回のチャンスは逃したくないところ。ちなみに今年6月15日、フィリピン証券取引所(PSE)中小新興企業(SME)ボードに上場した小売企業・メリーマート・コンシューマーコープ(メリーマート:取引コードMM)は、株価が初日から3日連続でのストップ高という活況を呈し、9月30日現在の株価は3.03とIPO価格1ペソの3倍超となっています。
なお公募期間は10月13日から10月19日となっています。
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