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週末は米トランプ大統領のコロナ感染というニュースを前に9月の米雇用統計は忘れられてしまった感もあります。しかし、米雇用統計の内容を見ると、トランプ大統領のコロナ感染の影響を考えるヒントもいくつか見られます。可能性としては、共和党と民主党で対立が続く追加財政政策に、若干の進展が見られるかもしれません。
米9月雇用統計:非農業部門雇用者数の改善ペースは減速、失業率は低下
米労働省が2020年10月2日に発表した9月の雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比66.1万人増と市場予想(85.9万人増)、前月(149万人増と速報値137万人増から上方修正)を下回りました。ただ新型コロナウイルスの影響を受けた娯楽産業は大幅に改善しました(図表1参照)。
家計調査に基づく失業率は7.9%と、市場予想(8.2%)、前月(8.4%)を下回りました。労働参加率は0.3ポイント低下の61.4%でした(図表2参照)。
どこに注目すべきか:米雇用統計、国勢調査、労働参加率、感染
週末は米トランプ大統領のコロナ感染というニュースを前に9月の米雇用統計は忘れられてしまった感もあります。しかし、米雇用統計の内容を見ると、トランプ大統領のコロナ感染の影響を考えるヒントもいくつか見られます。可能性としては、共和党と民主党で対立が続く追加財政政策に、若干の進展が見られるかもしれません。
今回の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比で市場予想を下回ったことなどから回復ペースが減速、失業率の低下から雇用市場の改善は持続、というのが見出しのデータを見た解釈です。
雇用者数については、確かに雇用の先行指数となる傾向がある人材派遣の減少などに懸念はあります。一方で、コロナで痛手を受けたレジャーや宿泊などを含む娯楽産業が雇用を増やし、製造業も小幅ながら改善しています。9月の雇用者数の増加が前月を下回ったのは政府部門の予想外の減少が影響しています。背景は地方の教育関連雇用がオンライン教育導入で減少したことなどによると見られます。労働省の声明では、教育以外の政府関連雇用者は9.6万人の増加であったと述べています。また、国勢調査に携わっていた臨時職員の減少も下押し圧力と説明しています。
次に失業率は7%台に低下し、雇用者数の増加に伴い改善が続いています。ただし、失業率は質の点でやや不安も残る内容です。例えば、労働参加率は低下しており(図表2参照)、理由は不明確ですが、女性の労働参加率が特に低下しています。労働参加率の低下は失業者も含めた労働市場からの退出の増加と裏腹の関係にあることから、労働参加率の低下と失業率の低下には質の点で注意が必要です。また、長期失業者は9月に前月比78.1万人増え240.1万人と急増しています。質の改善が伴わないままでは、失業率の低下の持続性に注意も必要で、今後、失業率を見る上では失業率だけでなく、質の改善も合わせてみることが必要です。
今回の雇用統計を、雇用者数と失業率に限って見ても改善が継続する一方で、弱い面も多々あり、引き続き財政支援が必要なことを示唆しています。しかし政治的対立により財政支援は遅れていたうえに、トランプ大統領のコロナ感染という不確定要素が加わりました。それでも前向きに考えられるケースとして、トランプ大統領の症状が軽い場合や、もしくは危機を前に政治的対立が緩和し追加財政政策が進展する場合などが主にあげられます。今のところ市場が冷静さを取り戻しつつあるのも、前向きな要因を見ているからかもしれません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『トランプ感染にかすんだ米雇用統計』を参照)。
(2020年10月5日)
梅澤 利文
ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト
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