日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は「インターネットの検索推移」から「投資意欲」についてみていきます。

 

さらに今年に入ってからのコロナ禍。それによる景気減退は、会社員の収入にも影響を与えています。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、現金給与総額の前年比は、今年1月は+1.0、2月+0.7、3月+0.1と推移していましたが、4月以降は、4月-0.7、5月-2.3、6月-2.0、7月-1.5と前年比割れが続いています。

 

また日本経済団体連合会による「2020年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)」によると、大手企業の夏季賞与は前年比-6%に。年末賞与はさらに悪化するという見通しが大半となっていて、なかなか明るい話題はないようです。

 

そのような状況から、「金融・投資」に関するインターネット検索が増加しています。年初は前年比マイナスだったものの、1月第4週に前年比+5%となってからは、ずっと前年比プラスで推移しています(図表1)

 

出所:V-RESAS、	ヤフー・データソリューションデータより作成
[図表1]「金融・投資」に関するインターネット検索の推移 出所:V-RESAS、 ヤフー・データソリューションデータより作成

 

特に興味・関心の高まりがピークに達したのが、4月第1週で前年比+26%。緊急事態宣言を発令したのが4月7日。ちょうど、先の見えない不安感がピークに達したときと一致します。「今後収入がどうなるかわからない……いまある貯蓄をどのように増やせばいいのか」と、それまで投資とは縁のなかった人が検索したこともあったでしょう。また投資家が未曽有の危機を前に、いつも以上に検索行動に走った可能性もあります。さらに給付金、補助金などの支援金に対する関心の高まりもあったでしょう。良くも悪くも、お金に対する興味・関心がピークに達したときでした。

 

その後、前年比プラスをキープし、時期によって上下するものの、下降トレンドが続き、5月第5週には前年比+1%まで落ち込みます。その後、再び、上昇基調となり、9月に入ってからは高い関心を集めているようにみえます。関心が低くなったのは、緊急事態宣言発令中で、経済活動が停滞していた時期。お金への関心は、ある程度の経済活動が行われていることが前提条件だということの表れだと考えられます。

お金のまわりのこと…興味・関心に地域差

さらに、「金融・投資」に関するインターネット検索は、地域差がみられます(図表2)。2020年8月17日〜9月13日で、前年同期比で最も高いのが「岡山県」で+42.0%。「三重県」+41.0%、「岐阜県」+40.0%、「富山県」「静岡県」「奈良県」+39%と続きます。対して最も低いのが「東京都」で+16.0%と、倍以上の開きがあります。そのほか「大阪府」+19%、「新潟」「鹿児島」「沖縄」が+20%と、地域別にみた際には低くなっています。

 

出所:V-RESAS、 ヤフー・データソリューションデータより作成
[図表2]都道府県別「金融・投資」に関するインターネット検索の推移上位 出所:V-RESAS、 ヤフー・データソリューションデータより作成

 

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