日本語には、「損する言葉」と「得する言葉」の2種類がある。前者は幼稚で相手の配慮が不足しているイメージ、後者が知性や教養が溢れるイメージだ。「得する言葉」を使うことで、コミュニケーションが円滑になり、仕事や人生にも好影響と著者は語る。言葉遣いを変えるだけで好印象を与える「語彙」の数々を徹底解説。本連載は安田正著『超一流 できる大人の語彙力』(プレジデント社)から一部を抜粋した原稿です。

 

(4)【散財をかける(散財をおかけする)】

意味:いろいろなことで金銭を多く費やすこと

 

 とんだ散財をおかけしました

× とんだご負担をおかけしました

相手が主体的にお金をかけたかどうか

◯の例は、「何かよくしてもらった」時に使う表現です。例えば、食事をごちそうになって相手に感謝の気持ちを伝える時に使うとよいでしょう。×の例は、相手が望んで金銭を負担したかどうかまでは伝わりません。

 

 

(5)【虚虚実実】

意味:互いに策略の全てを出して、全力で戦うこと。または、嘘と真実を織り交ぜながら、互いに腹の内を探り合うこと

 

 虚虚実実の駆け引きが行われている。

× 泥仕合の駆け引きが行われている。

戦略的に戦っていることが伝わるかどうか

◯の「虚虚実実」は、お互いがあの手この手で戦っていることを表現する言葉で、相手の細かいところまで把握して真意を見抜き、力を尽くして競い合っているようなイメージです。一方、×「泥仕合」は、総力戦・全力を尽くして戦うという意味が伝わらない、何でもありで行っている意味です。

 

 

(6)【精彩を欠く】
意味:ぱっとしない、冴えない様子。調子がよくない感じ

 

 あの俳優さんこの頃、精彩を欠いているなぁ。

× あの俳優さんこの頃、イケていないなぁ。

オーラのような輝きを失ったことが伝わるかどうか

◯の例は、特に「人から見られる」「注目される」立場の人が、オーラのようなものがなくなってきている場合に使います。「精彩」は「その人の輝き」を意味しています。一方、×の例は、冴えない様子を伝える表現としては漠然としています。

 

 

安田 正

株式会社パンネーションズ・コンサルティング・グループ代表取締役

早稲田大学グローバルエデュケーションセンター客員教授

超一流 できる大人の語彙力

超一流 できる大人の語彙力

安田 正

プレジデント社

“損する言葉"と“得する言葉"。言葉づかいの選択で残念な人生を送っていませんか? この本は、普段、あなたが使っている言葉が“損する言葉"であるか“得する言葉"であるか、ひと目で判断できる! そのような内容になっていま…

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