約8割もの人が病院で亡くなる時代。誰もが、病名・余命告知や治療方針の希望などを、健康なうちから周囲に意思表示をしておく必要があります。今回は、シニア生活文化研究所・代表理事の小谷みどり氏の著書『ひとり終活』より一部を抜粋し、独居老人だからこそ考えておくべき、人生の幕引きについて考えていきます。

延命だけを目的とした医療を拒否する「尊厳死」

延命だけを目的とした医療を本人の意思で拒否するというのが「尊厳死」です。厚生労働省は、2014(平成26)年に発表した「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」のなかで、延命医療をどうするかを含めた終末期医療について、「医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされた上で、患者が医療従事者と話し合いを行い、患者本人による決定を基本として人生の最終段階における医療を進めることが重要」だとしています。

 

しかし、いくら延命措置をしてほしくないと思っていても、延命措置が必要になるときにはすでに意識はなくなっているので、その場になって自分で伝えることはできません。事前にその意思をまわりの人や医師に伝えておかなければならないのです。

 

特にひとり暮らしをしている人は、延命措置をしてほしいかどうかをあらかじめ医師に伝えておく必要があります。そのひとつの方法は、元気なうちに自分の意思を書いておくことです。そのうえで、それを医師に伝えてくれる人を見つけておくことが必要です。

 

別居している家族、あるいは友人と、元気なうちに話し合っておくことはとても大切です。あるいは余命告知されたときや入院したときなどに、あらかじめ自分の思いを医師や看護師に伝えておいてもいいでしょう。

 

参考までに、日本尊厳死協会が作成している「尊厳死の宣言書」の一例を掲載します。法的な遺言ではないので、この通りに書く必要はありませんし、書き方も自由です。

 

[図表]「尊厳死の宣言書」の一例

 

 

小谷みどり 

シニア生活文化研究所代表理事

 

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ひとり終活

ひとり終活

小谷 みどり

小学館

元気なうちは気兼ねの要らない自由な暮らしがいいと思っていても、ひとり暮らしの人は、将来に不安を感じることも多い。 介護が必要になったら誰が面倒を見てくれるのだろう? 万が一のとき誰にも気づいてもらえなかったら…

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