実践的基礎知識 金融/経済史編(7)<バブル景気①>

ピクテ投信投資顧問株式会社が、実践的な投資の基礎知識を初心者にもわかりやすく解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するコラムを転載したものです。

 

バブル景気その1(1985年〜1990年)

 

日本経済は二度のオイルショックを、自動車や半導体への産業構造の転換で乗り越えた一方、同分野において日米貿易摩擦を引き起こしました。この貿易摩擦が、円高米ドル安を引き起こすプラザ合意へとつながります。プラザ合意後の円高は、変動相場制への移行期以上の円高不況を引き起こし、この不況対策に導入された金融緩和がその後のバブル景気をもたらしました。ここでは、バブル景気の序章となる「レーガノミクス」から「ブラックマンデー」までを見ていきましょう。

レーガノミクス

米国は、1975年に終戦を迎えたベトナム戦争の泥沼化、二度のオイルショックなどにみまわれて、不況とインフレが同時進行するスタグフレーションに陥っていました。1981年に共和党のロナルド・レーガン大統領が実行した経済政策をレーガノミクスといいます。

 

従来のケインズ型経済政策では、不況になると政府が公共事業などで支出を増やし、経済に流動性を供給することで不況から脱却していました。ところが、インフレを伴うスタグフレーションの場合、流動性の供給はインフレを悪化させることから、ケインズ型の経済政策は採れません。そこで、マネーサプライを抑制しつつ、減税と規制緩和で不況から脱却しようとしました。これはケインズ経済に代わるサプライサイドの経済学と呼ばれ、徹底的に民間活力を高めるものでした。

 

ところが、レーガノミクスはこれだけではなく、「強いアメリカの復活」を掲げ、軍事力の強化と強い米ドルを目指しました。これにより、軍事費は際限なく増えていき、歳出削減の効果が薄れ財政赤字となるといった矛盾が生じました。また、米ドル高で輸出が停滞し輸出産業中心に企業業績が伸び悩みました。結果として、米国は財政赤字と貿易赤字という双子の赤字に苦しむこととなりました。

 

右の日本の中曽根首相とは、ロン・ヤスと呼び合う親密な関係を築きました
[図表1]米レーガン大統領 右の日本の中曽根首相とは、ロン・ヤスと呼び合う親密な関係を築きました

プラザ合意

レーガノミクスが米ドル高をもたらした結果、日本からアメリカに対する輸出が急増し、米国の対日貿易赤字が顕著に増加しました。日本は燃費の良さを売り物に日本車の輸出を加速させ、また、コンピューターや半導体の分野においても日本の輸出が急増し、ハイテク摩擦とも呼ばれた貿易摩擦を引き起こしました。

 

日本以外の欧米諸国が低成長に苦しんでいる中で、一人勝ちの日本に対する不満の高まりは一向に収まりませんでした。そこで、アメリカの双子の赤字を抜本的に解決するために、米国ニューヨーク・プラザ・ホテルに米、英、仏、西独、日本の5ヵ国(G5)の蔵相、中央銀行総裁が集まりました。そして、アメリカを助けるための米ドル高是正が協議され、G5で協力して米ドル安に誘導することが合意されました。プラザ合意の直後、当時1米ドル=240円程度であった為替レートは、あっという間に150円まで円高米ドル安となり、結果として、輸出産業を中心に日本企業の業績が悪化して、深刻な円高不況となりました。

 

会場となったプラザ・ホテル
[図表2]1985年 プラザ合意 会場となったプラザ・ホテル

ルーブル合意とブラックマンデー

プラザ合意によって始まったドル安に歯止めをかけるため、1987年2月、先進国7ヵ国(G7)がフランスのルーブル宮殿に集まり、米ドルの為替水準を現行水準で安定させることで合意しました。これがルーブル合意と呼ばれるもので、為替レートを安定させるために、各国は緊密な政策協調を行うことが宣言されました。具体的には、行き過ぎたドル安是正のためアメリカは金利を引き上げ、日本や西独のように米ドルに対して通貨が強い国は金利の引き下げをすることで協調することになりました。

 

ところがわずか7ヵ月後の1987年9月に、西独がルーブル合意に反して金利の高め誘導を行いました。第一次世界大戦後に天文学的なインフレを経験した西独は、インフレに対して一貫して厳しい姿勢で臨んでいました。この西独の金利引きげが、市場からはルーブル合意を得た各国の政策協調が破綻したと受け止められ、アメリカは更なる利上げを行うとの観測から、10月にアメリカの株式市場は暴落しました。これが「ブラックマンデー」で、ニューヨーク株式市場のダウ30種平均株価指数は前日比508米ドル下落し、この日の下落率は22.6%と、世界恐慌の引き金となった1929年の「ブラックサーズデー」の下落率12.8%を上回りました。当時コンピューターを使った株式取引が普及していましたが、自動売買プログラムによって売りが売りを呼ぶ状況となり、株価下落を加速させました。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『実践的基礎知識 金融/経済史編(7)<バブル景気①>』を参照)。

 

(2020年7月30日)

 

投資家ご本人が、自ら考え、選び、投資をするプロセスを徹底サポート!
幻冬舎グループのIFAによる
「資産運用」個別相談会

 

[PR]2021年1月21日(木)WEB&幻冬舎会場開催/特別イベント
米国アライアンス・バーンスタインのアドバイザーと本音で語る!
不透明な市場環境下での「米国株」資産運用とは?

IFA口座開設済みのお客様限定/特別フリートークセッションライブ

 

 

幻冬舎グループがIFAをはじめました!
「お金がお金を生む仕組み」を作りたいけど、相談相手がいない…
この現実から抜け出すには?

 こちらへ 

 

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

著者紹介

連載PICTET・投資初心者のための実践的基礎講座

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧