M&Aはバイオ医薬品株式の上昇要因

投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社マーケット情報。専門家が明快に分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

 

買収されることが発表され9月14日のイミュノメディクス(米)の株価は前営業日(11日)に比べ約2倍に急騰しました。バイオ医薬品企業をターゲットとした買収について解説します。

買収発表後、買われる側の企業の株価は約2倍に急騰

9月14日のイミュノメディクス(米)の株価は前営業日(11日)に比べ約2倍に急騰しました。9月13日に米国の大手バイオ薬品企業ギリアド・サイエンシズ(以下、ギリアド)が同業のイミュノメディクスの買収を発表したことが要因です。

 

ギリアドが今回の買収で提示した条件は、発表前のイミュノメディクスの時価総額の2倍以上という好条件でした。

 

日時、期間:2019年12月31日~2020年9月14日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]イミュノメディクスの株価推移 日時、期間:2019年12月31日~2020年9月14日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

買収金額にはプレミアムがつく

バイオ医薬品企業が買収される際には、発表時点の株式時価総額よりも買収金額が高くなることがほとんどで(「買収プレミアム」といいます)、過去の各年の実績でも高い買収プレミアムがつけられていることがわかります。理由としては、有力な治療薬や新薬候補を得られることが最終的に買収側企業の業績拡大につながることになるので、プレミアムをつけてでも買収しようとするのです。

 

年次、期間2013年~2020年 ※発表日ベース、※買収完了および進行中の案件の金額を合計 ※買収プレミアム平均:買収金額がターゲット企業の企業価値(発表日ベース)を上回った比率の単純平均  ※2020年9月14日現在  出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]バイオ医薬品企業をターゲットとした買収プレミアム平均の推移 年次、期間:2013年~2020年
※発表日ベース、※買収完了および進行中の案件の金額を合計
※買収プレミアム平均:買収金額がターゲット企業の企業価値(発表日ベース)を上回った比率の単純平均
※2020年9月14日現在
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

たとえば今回の買収でギリアドは、2024年にはブロック・バスター(市場で売上高が10億ドル(約1,050億円)を超える大型薬)と予想されているイミュノメディクスの乳がん治療薬を手に入れ、自社のがん領域を強化することができるため、2倍という好条件による買収を提案したと考えられます。

M&Aでパイプランを買う

医薬品にも特許があり、将来にわたり成長を続けるには、次々と新しい治療薬を販売しなければなりません。そのため新薬候補(「パイプライン」といいます)のラインナップを充実させることが重要となってきます。

 

大手医薬品企業や大手バイオ医薬品企は当然、自社でも積極的に新薬の開発を進めていますが、有力な治療薬やパイプラインをもつバイオ医薬品企業をM&Aすることも、治療薬やパイプラインを充実させる有効な手段となっており、M&Aでパイプラインを買う動きは今後も継続すると考えられます。

 

※上記はあくまでもイメージ図です。
[図表3]バイオ医薬品関連企業を巡るM&Aの動き ※上記はあくまでもイメージ図です。

バイオ医薬品株式への投資は分散投資がお勧め

M&Aの動きは継続すると見られますが、バイオ医薬品企業ならどんな企業でもいい訳ではなく、あくまでもターゲットとなるのは有力なパイプラインや治療薬を持っているバイオ医薬品企業に限られます。

 

新薬が最終的に承認されるまでには長い時間がかかり、基礎研究から応用研究、臨床試験へと新薬開発のステップを順調に進むバイオ医薬品企業もあれば、ステップをうまく進めないバイオ医薬品企業もあり、どの企業に投資するかの判断には、金融以外に医学や薬学などの高度な専門的な知識も求められます。

 

またバイオ医薬品企業の株価は新薬の開発動向などにより大きく変動し、特に承認された治療薬を有していない規模の小さなバイオ医薬品企業はその傾向が強くなっています。開発に失敗すると株価は大きく下がってしまいます。

 

バイオ医薬品株式は、投資する銘柄を選ぶために高度な専門知識が必要になることや、株価の変動が大きいことなどを考慮すると、実際の投資にあたっては投資信託などで複数の銘柄に分散投資してリスクを抑えながら、長期的なバイオ医薬品業界全体の成長を享受することをお勧めします。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『M&Aはバイオ医薬品株式の上昇要因』を参照)。

 

(2020年9月18日)

 

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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