M&Aはバイオ医薬品株式の上昇要因

バイオ医薬品

ピクテ投信投資顧問株式会社
M&Aはバイオ医薬品株式の上昇要因

投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社マーケット情報。専門家が明快に分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

「相続税の税務調査」に 選ばれる人 選ばれない人
>>1月16日(木)開催・WEBセミナー

 

買収されることが発表され9月14日のイミュノメディクス(米)の株価は前営業日(11日)に比べ約2倍に急騰しました。バイオ医薬品企業をターゲットとした買収について解説します。

買収発表後、買われる側の企業の株価は約2倍に急騰

9月14日のイミュノメディクス(米)の株価は前営業日(11日)に比べ約2倍に急騰しました。9月13日に米国の大手バイオ薬品企業ギリアド・サイエンシズ(以下、ギリアド)が同業のイミュノメディクスの買収を発表したことが要因です。

 

ギリアドが今回の買収で提示した条件は、発表前のイミュノメディクスの時価総額の2倍以上という好条件でした。

 

日時、期間:2019年12月31日~2020年9月14日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]イミュノメディクスの株価推移 日時、期間:2019年12月31日~2020年9月14日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

買収金額にはプレミアムがつく

バイオ医薬品企業が買収される際には、発表時点の株式時価総額よりも買収金額が高くなることがほとんどで(「買収プレミアム」といいます)、過去の各年の実績でも高い買収プレミアムがつけられていることがわかります。理由としては、有力な治療薬や新薬候補を得られることが最終的に買収側企業の業績拡大につながることになるので、プレミアムをつけてでも買収しようとするのです。

 

年次、期間2013年~2020年 ※発表日ベース、※買収完了および進行中の案件の金額を合計 ※買収プレミアム平均:買収金額がターゲット企業の企業価値(発表日ベース)を上回った比率の単純平均  ※2020年9月14日現在  出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]バイオ医薬品企業をターゲットとした買収プレミアム平均の推移 年次、期間:2013年~2020年
※発表日ベース、※買収完了および進行中の案件の金額を合計
※買収プレミアム平均:買収金額がターゲット企業の企業価値(発表日ベース)を上回った比率の単純平均
※2020年9月14日現在
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

たとえば今回の買収でギリアドは、2024年にはブロック・バスター(市場で売上高が10億ドル(約1,050億円)を超える大型薬)と予想されているイミュノメディクスの乳がん治療薬を手に入れ、自社のがん領域を強化することができるため、2倍という好条件による買収を提案したと考えられます。

M&Aでパイプランを買う

医薬品にも特許があり、将来にわたり成長を続けるには、次々と新しい治療薬を販売しなければなりません。そのため新薬候補(「パイプライン」といいます)のラインナップを充実させることが重要となってきます。

 

大手医薬品企業や大手バイオ医薬品企は当然、自社でも積極的に新薬の開発を進めていますが、有力な治療薬やパイプラインをもつバイオ医薬品企業をM&Aすることも、治療薬やパイプラインを充実させる有効な手段となっており、M&Aでパイプラインを買う動きは今後も継続すると考えられます。

 

※上記はあくまでもイメージ図です。
[図表3]バイオ医薬品関連企業を巡るM&Aの動き ※上記はあくまでもイメージ図です。

バイオ医薬品株式への投資は分散投資がお勧め

M&Aの動きは継続すると見られますが、バイオ医薬品企業ならどんな企業でもいい訳ではなく、あくまでもターゲットとなるのは有力なパイプラインや治療薬を持っているバイオ医薬品企業に限られます。

 

新薬が最終的に承認されるまでには長い時間がかかり、基礎研究から応用研究、臨床試験へと新薬開発のステップを順調に進むバイオ医薬品企業もあれば、ステップをうまく進めないバイオ医薬品企業もあり、どの企業に投資するかの判断には、金融以外に医学や薬学などの高度な専門的な知識も求められます。

 

またバイオ医薬品企業の株価は新薬の開発動向などにより大きく変動し、特に承認された治療薬を有していない規模の小さなバイオ医薬品企業はその傾向が強くなっています。開発に失敗すると株価は大きく下がってしまいます。

 

バイオ医薬品株式は、投資する銘柄を選ぶために高度な専門知識が必要になることや、株価の変動が大きいことなどを考慮すると、実際の投資にあたっては投資信託などで複数の銘柄に分散投資してリスクを抑えながら、長期的なバイオ医薬品業界全体の成長を享受することをお勧めします。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『M&Aはバイオ医薬品株式の上昇要因』を参照)。

 

(2020年9月18日)

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【1/7開催】<令和7年度>
税制改正大綱を徹底解説
最新情報から見る資産運用への影響と対策

 

【1/8開催】オルカン、S&P500…
「新NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法

 

【1/9開催】2025年の幕開け、どうなる?日本株
長いデフレ環境を生き抜いたスパークスが考える
魅力的な企業への「長期集中投資」

 

【1/9開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説

 

【1/12開催】相続税の
「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【見逃し配信special】

 

 

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧