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税務署との「駆け引き力」は遊びの中で磨かれる
たとえばフェラーリは「お客様に何かあった時、夜中であっても最も速いスピードで駆けつける必要があるから買った」。船は「震災などで道が途絶えた場合、一台でも多くお客様のバイクを運ぶのが使命」。その時はそれで、相手の首を縦に振らせることができたのです。
なぜこんな駆け引きが有効だったかといえば、税務署員は普段から自分の方が「強い立場」にあると勘違いしており、歯向かわれることを想定していなかったからでしょう。
税務署が相手だからといって、特別恐れる必要はありません。むしろ徹底的に対峙するという気概が、譲歩を引き出します。一度そう腹をくくれば、税務調査に過敏になり、ストレスを抱えるようなことがなくなります。筆者は税務調査を楽しんでいます。
筆者はここまで、ありとあらゆる節税を行ってきました。経費の基準というのは、最高裁判所の判例などに基づいて、税務署が決めているものなのです。
たとえば、社長の乗る社用車は、「クラウンまでならOKだが、ベンツはNG」といったように、ある程度の線引きが存在しています。しかしそれは絶対ではなく、相応の理由があれば、経費として認められます。その理由を考えるというのも、立派な節税といえます。
筆者はフェラーリや船を、「社用」として申請し、福利厚生の経費で賄うことができています。その大きな理由は、うちの会社には、「スポーツカークラブ」と「マリンクラブ」があるためです。その上で、「フェラーリや船には定期的に社員が乗り、福利厚生に大いに役立っている」というのが、税務署に対する説明でした。そうして相手を納得させるだけの準備をしておくのが、筆者なりの節税のコツです。
こうして税務署の想定外の理由、納得せざるを得ない「奇策」を考案するには、柔軟な発想が必要です。
その能力は、会社にいては身につかず、遊びの中でこそ磨かれていきます。柔軟な発想力というのは、同じ環境にいてはいつまでたっても身につきません。違った環境の中に飛び込み、出会ったことのないタイプの人々と交流して、視野を広げることで初めて、発想に柔軟性が出てきます。
谷田 育生
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