再ロックダウンにもめげず、安定した生活を送るNZ
ニュージーランドでは、オークランド市内で感染者が出たことで、政府は即警戒レベルをレベル3に引き上げ、ロックダウンを再開させました。やっと通常生活に戻り、ビジネスも徐々に回復して、これから一期に上昇を…と期待する矢先での再ロックダウン。それもレベル3はオークランドのみで、他の都市はレベル2のままです。この2週間で、オークランドの警戒レベルは3から2.5に変化しましたが、この状況は9月16日(水)まで続きます。現状、他の都市とは0.5レベルの違いがありますが、この差により、オークランドでは、面談や会食は10名以下、集会や葬式などは50名までという人数規制が施行されています。
また、このレベル差により、ワイカト地方などへの移動もできなくなるという状況が発生しました。弊社では、ワイカト地方にある投資物件の管理業務を、すべて現地業者へ依頼しなければならない事態となりました。
世界中で新型コロナウイルス感染症の第2波が到来しているといわれるなか、再ロックダウンとなる前のニュージーランドは、感染者ゼロという状態を102日間も維持していたことから、感染症の終息を成功させ、リードした国としての誇りがありました。にも関わらず、この段階で再発したことは、国民に大きなショックを与えました。しかし、皆過去のロックダウン時の経験を活かして、パニックを起こすことなく安定した生活を送っています。
「密集禁止」が不動産業界にもたらしたメリット
ロックダウン中でも、不動産業界は停滞していません。警戒レベル3の状況下での内覧は、予約制で1日2組まで案内できます。レベル2.5では、10名以内の内覧が可能なので、土日のオープンホームは引き続き開催可能となっています。
ファーストホームバイヤーから投資家まで、皆が動いています。販売方法はオークション(競売)ですが、警戒レベル2.5の今は、先ほど述べたとおり、1軒につき、同時に内覧できるのは10名までです。より多くの方が参加できるよう、Zoomを活用して販売しています。オークショナーがリードし、買い手や物件に興味のある人は、レジスター(登録)をして、Zoomオークションに参加するという形式です。
やり方は通常のオークションとまったく同じです。オークショナーが画面を見て、手を挙げる人をコントロールします。買い手候補や、純粋な興味から参加する人、売れなければ条件付きで買おうかなと思っている人たちを含め、皆の様子を画面で見ることができるのです。
ロックダウン再開のニュースを聞いた瞬間、セールスマンはオークションの日取りのことを心配しましたが、Zoomのお陰で無事開催できています。日々契約が成立し、普段と変わりなく売買が行われています。弊社オフィスでも、今週は25軒の売買が成立しました。各担当のセールスマンは休む暇さえなく、充実しています。
再ロックダウンが不動産業界にもたらした意外なメリットは、本当に買いたいという人が集まるということです。現状では、いわゆる「冷やかし客」が内覧に来ることはあまりなく、家を買うという目的を持った人たちだけが訪れるのです。我々にとっては、無駄な時間をかけることなくポイントをついた商売ができるというメリットがあります。
ロックダウンにめげず、コロナに負けず、不動産業界は今後も動き続けます。人々が生きるうえで住居は必要不可欠ですから、投資が目的であっても、賃貸として運営する以上、需要が尽きることはありません。中古物件、新開発物件ともに好調な動きをしております。
観光業や飲食…各業界が不振のなか、不動産業界は好調
オークランドの南に位置するMangare East地区。近くには国立病院や、駅、商店街があり、空港へのアクセスも良好です。
販売されている物件としては、ほぼ完成に近づいているスタジオ、1ベッド~2ベッドルームのアパートメントを合わせて、全部で44戸あります。価格帯は、スタジオルームで33万ドル台、1ベッドルームで40万ドル台、2ベッドルームで50万ドル台となっています。ファーストホームバイヤー、投資家にとっては買い易い物件となっており、実際に若いカップルや熟年カップルの訪問が目立ちます。
かつては銀行定期預金の金利が高く、100万ドルを預けていれば何とか生活ができた時代もありました。しかし現在の金利はその頃と比べて半分に下がり、とうとう今年は2%を切ってしまいました。そのため、不動産投資に注目が集まっています。家賃収入の純利益は、年利3.5%~4%。加えて、キャピタルゲインも期待できます。そこに注目されて、不動産投資熱が復活しているのです。
ツーリズム、飲食・商店営業の業界では経済低下が顕著ですが、低金利のローンを組んで資産を不動産投資で蓄える人の流れができています。これは週末のオープンホームの好調ぶりが証明しています。正直なところ、これほど売買契約が進んでいることに驚きを隠せません。
一色良子
Goo Property NZ Ltd.代表取締役社長